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🌐 実務ガイド

工事仕様書・設計図書を翻訳するには
寸法と規格番号を、原文どおりに保って渡す

海外拠点の設計チームと同じ図書を共有したい、現場に入る外国人技術者に仕様の意図まで伝えたい、海外の協力会社に見積を依頼するのに仕様書だけ外国語版が要る——建設・設計の担当者からは、「工事仕様書や設計図書を、表組みを崩さずに外国語版として用意したい」 という声をよく聞きます。この種の文書は、文章と数値と記号が同じページに詰まっているうえ、書かれていることがそのまま施工の指示になります。読み違いが図面と現物の食い違いにつながる点が、一般の社内資料の翻訳と決定的に違います。本ガイドでは、訳す対象と訳さない対象を先に切り分け、改訂が続く前提で回る形に整える進め方を、専門知識を前提とせずに整理します。

所要時間:7 分 / 最終更新:2026 年 8 月

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セクション 1

なぜ工事仕様書・設計図書の翻訳は手間取るのか

「本文を訳すだけ」に見えて、実際に手を動かすと止まりやすい領域です。つまずきの原因は、次の 3 つに整理できます。

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文章・数値・記号が同じページに混ざっている

仕様書には、要求事項や施工方法を述べた文章と、寸法・数量・強度・許容差などの数値、そして材料記号・規格番号・図面番号・通り芯の符号といった記号が同居しています。文章は意味を訳す対象ですが、数値と記号は訳す対象ではなく、原文と一致させる対象です。この 2 種類を同じ工程でまとめて扱おうとすると、言い回しを整えている間に記号のずれを見落とします。しかも仕様書は表組みが多く、1 つのセルの中に文章と数値と記号が同居していることも珍しくありません。何をどの工程で扱うのかを、着手前に決めておく必要があります。

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書かれていることが、そのまま施工の指示になる

社内向けの説明資料であれば、表現が多少あいまいでも後から補足すれば済みます。仕様書はそうはいきません。「〜とする」「〜によること」「〜を標準とする」といった書き分けは、求めていることの強さの違いです。訳文でこの区別が消えると、必須の要求が推奨に読めたり、逆に選択肢のひとつが必須に読めたりします。読み違いに気づくのが現場に材料が入ったあとになると、影響は文書の直しでは収まりません。速さを優先してよい文書と、そうでない文書を分けて考える必要があります。

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設計変更と質疑回答で、改訂が続く

設計図書は発行して終わりではありません。設計変更、質疑回答(照会と回答)、現場からの申し入れによって、工事の途中でも内容が更新されていきます。ところが翻訳版は、最初に訳したきり更新されずに現場へ残りがちです。原本が改訂されたのに翻訳版が旧版のままという状態は、翻訳版が無い状態よりも危険です。「今回ぶんをどう訳すか」ではなく「改訂が来るたびに差し替えられる形にするか」で考えたほうが、結果的に負担が減ります。

※ 本ガイドは、すでに内容が確定している仕様書・設計図書を「翻訳して外国語版を用意する」工程を扱うものであり、記載すべき事項、設計図書相互の優先順位、外国語版を契約図書として扱ってよいか、建築や設備に関する法令・規準・許認可への適合を示すものではありません。これらは工事の種別・契約の定め・施工する地域によって異なります。判断は自社の設計部門・工事担当部門や発注者、および建築士・弁護士など所管の専門家にご確認ください。

セクション 2

仕様書・設計図書を翻訳する方法 — 比較

この領域でよく使われる方法は、大きく 4 つあります。「表組みが多い」「改訂が続く」「未公表の設計情報を含む」という設計図書の性質に照らして、それぞれの向き不向きを押さえておきます。

翻訳の方法手間・スピード文書データの扱い向いているケース
翻訳会社に依頼する品質は高いが、日数と分量に応じた調整が必要で、改訂のたびに依頼が発生する文書は依頼先にとどまる(取り決めによる)相手に渡して残る版の文面を、最初にしっかり固めたいとき
クラウド型の翻訳サービスに貼り付ける貼り付けるだけで速いが、表組みと書式を自分で組み直すことになる本文がサービス提供元のサーバーに送られる海外から届いた仕様書の下訳・内容の把握
社内の外国語ができる社員に頼むその場で頼めるが、本来の業務の合間になり、分量と改訂の頻度に持たない社内にとどまる抜粋・数ページの照会文に限られる場合
手元(ローカル)で処理する翻訳ツールファイルを渡すだけで速く、表組みと書式を保ったまま訳せる。改訂ぶんも同じ手順で回せる文書は PC の中で処理され、翻訳サービス事業者にはアップロードされない改訂が続く運用・未公表の設計情報を扱う場合・複数の言語が必要な場合

※ どれか 1 つに絞る必要はありません。発注者や協力会社に渡して残る版は文面を固めたうえで所管部門の確認を通し、現場や社内で読むための下訳は手元のツールで訳す、という使い分けが現実的です。なお、設計図書には契約前の見積条件や、発注者・施主に関する情報が含まれることがあります。社外のサービスに載せてよいかは、自社の情報管理のルールと発注者との取り決めに照らして、着手前に確認しておいてください。

セクション 3

実務の進め方 — 「改訂が続く」前提で型を作る

設計図書の翻訳は一度きりでは終わりません。工事が進むにつれて改訂ぶんが繰り返し発生します。最初に型を作れるかどうかで、2 回目以降の負担が変わります。押さえておきたい点を 4 つにまとめます。

「訳す語」「訳さない語」「毎回同じ訳にする語」を先に仕分ける — 本文・見出し・工種の説明・注記は訳す対象です。一方、寸法、数量、単位、許容差、強度や等級を表す記号、材料記号、規格の名称と番号、図面番号、通り芯や階数の符号、部屋番号、機器の型式は、原文のまま残す対象です。そして、工種名・部材名・仕様の呼び方・発注者や設計者の名称は「毎回同じ訳語にする語」です。この 3 つをファイルを開く前に仕分け、後の 2 つを用語辞書(用語集)に登録しておくと、担当者や号数が変わっても訳がぶれません。

要求の強さを表す言い回しの訳し方を、先に決めて登録する — 「〜とする」「〜によること」「〜を標準とする」「〜を原則とする」「〜が望ましい」「監理者の承諾を受けること」は、日本語では書き分けられていても、訳語の選び方によって強さが変わります。必須の要求が推奨に読める訳文になれば、その部分は実質的に伝わっていません。これは訳文の巧拙ではなく、内容の問題です。よく出てくる言い回しについて「この日本語はこの訳語にする」を先に決めて用語辞書に登録し、判断を毎回の担当者に委ねない形にしてください。

元ファイルごと翻訳する — 仕様書は、表組み・条項番号・箇条書きの階層・注記・図表番号・目次が本文と結びついています。本文だけをコピーして訳すと、この対応が崩れ、組み直しに時間を取られます。ファイルの書式を保ったまま翻訳できる方法を選ぶと、原本と同じ体裁の外国語版がそのまま出せる状態になります。なお、図面そのもの(CAD データ)や、画像として貼り込まれた図の中の文字は翻訳の対象になりません。図面の凡例や注記は、どこまでが文書ファイル側にあるのかを最初に確認し、図面側で対応するぶんは別に切り出しておいてください。

過去の号数を、翻訳メモリと用語辞書として引き継ぐ — 仕様書は、共通仕様の説明や一般事項など、案件をまたいでも変わらない記述が相当な割合を占めます。原文と訳文を翻訳メモリとして持っておけば、次の改訂や次の案件では「変わったところ」に力を集中できます。用語辞書も同じで、一度決めた工種名・部材名の訳語を引き継ぐことが、現場での混乱を防ぐことにつながります。担当が交代する前提で、辞書とメモリを個人の手元ではなく部門の資産として残しておいてください。

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翻訳の用語を統一して品質を安定させるには

工種名や部材名の訳がばらつく問題は、仕様書に限らず技術文書の翻訳運用に共通の課題です。用語集(用語辞書)で訳のぶれをなくす考え方と、最初に登録すべき語の選び方をこちらの実務ガイドに整理しています。

翻訳の用語統一ガイドを読む →

セクション 4

相手に渡して残る版か、現場で読むための参照訳か — 用途で仕上がりを分ける

図書一式を丸ごと同じ品質で翻訳しようとすると、分量に負けて必要な時期に間に合いません。「相手に渡って残る版」と「内容を把握するための版」で、求める仕上がりを分けるのが実務的です。

発注者・協力会社に渡す版/見積依頼に添える版

確認を経て出す版

相手の手元に残り、あとの判断の根拠になる版です。機械的な訳文をそのまま出すのではなく、内容が分かる技術者が通読し、要求の強さが原文どおりに伝わっているか、寸法・数量・単位・規格番号・図面番号が原文と一致しているかを確認してから出します。適切かどうかの最終的な判断は、翻訳の担当者ではなく、記載内容に責任を持つ設計部門・工事担当部門が行ってください。日本語版と外国語版のどちらを正とするか、外国語版に「参考訳」と明記するかどうかも、渡す前に決めておく必要があります。

現場・社内での内容把握のための参照訳

速さを優先する版

外国人技術者に仕様の意図を説明する、海外拠点の担当者と構成を共有する、海外から届いた仕様書の中身をつかむ、といった用途です。逐語の完成度より「内容がすぐ把握できること」に価値があるため、機械翻訳の訳文をそのまま参照訳として使い、疑問のある箇所だけ原文に当たる運用で十分に機能します。この段階の訳文は参照用であることを資料上に明記し、社外には出さないようにしておきます。相手に渡す必要が生じた段階で、確認を経た形に仕上げ直します。

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契約前の資料を安全に翻訳するには

設計図書には、契約前の見積条件や、発注者・施主に関する情報、まだ公表されていない計画の内容が含まれることがあります。こうした資料を、クラウド型の翻訳サービスに貼り付けてよいのか——。翻訳でデータがどこへ送られるか、処理場所による違い、手元(ローカル)処理・BYOK の考え方は、こちらの実務ガイドに整理しています。

社内文書の安全な翻訳ガイドを読む →

セクション 5

つまずきやすいポイント

仕様書・設計図書の翻訳で引っかかりやすい点を、先回りして 5 つ挙げておきます。

寸法・数量・単位・規格番号は訳さず、必ず原文と突き合わせる — 寸法や数量、単位の表記、許容差、材料記号、規格の名称と番号、図面番号や通り芯の符号は、意味を訳す対象ではなく原文と一致させる対象です。特に、けた区切りや小数点に使う記号、寸法の並べ方は言語や地域によって慣行が異なります。どの表記に統一するかを先に決め、訳し終えたら本文の読みやすさとは別に「数値と単位と記号だけを原本と並べて突き合わせる」工程を必ず入れてください。ここでのずれは、読みにくさではなく内容の誤りになります。

単位の換算を、翻訳の工程でやらない — ミリメートル表記の図書を、読み手の慣れた単位に直したくなる場面があります。しかし換算は翻訳ではなく設計上の判断です。丸めをどうするか、どの寸法を基準に合わせるかで結果が変わり、翻訳の担当者が判断してよい範囲を超えます。原文の単位のまま残し、換算が必要であれば設計部門が別途行い、換算値であることを明示した形で扱ってください。参考として併記する場合も、どちらが原本の値かが分かるようにしておく必要があります。

訳した理由で内容を補わない・省かない — 訳しにくい表現に出会ったとき、分かりやすくしようとして説明を足したり、意味の取りにくい条件を落としたりすると、原文にない要求が生まれたり、必要な条件が消えたりします。基準は「原文と同じことを、同じ強さで書く」の一点です。原文自体があいまいで訳せない箇所は、翻訳の工程で解決せず、質疑として原本の作成者に照会してください。翻訳の担当者が良かれと思って埋めた解釈が、そのまま現場に流れるのがいちばん危険です。

現場での指示・確認を、翻訳版で置き換えない — 外国語版があると、渡して読んでもらえば伝わったことにしてしまいがちです。実際の取り合いの納まり、現場の状況に応じた判断、当日の指示は、文書の翻訳では代わりになりません。翻訳版は「共通の前提をそろえるための道具」と位置づけ、施工前の打ち合わせや現場での確認は従来どおり行ってください。安全に関わる作業の手順そのものを外国人材に伝える工程については「作業手順書を外国人材向けに翻訳するには」、現場に入る人への周知については「新規入場者教育を動画で実施するには」のガイドにも整理しています。

版数と改訂日を明示し、旧版の翻訳を現場に残さない — 外国語版には、原本のどの版・いつ時点の内容に対応するのかを必ず明記してください。設計変更や質疑回答で原本が改訂されたのに翻訳版が旧版のままだと、原文と翻訳版が食い違ったまま現場に残ることになります。この状態は、翻訳版が無い状態よりも誤解を生みます。改訂が入ったときにどちらの版も差し替える手順と、旧版を配布・掲示の場所から下げる手順を、図書の管理の運用に組み込んでおいてください。改訂が続く文書を管理する考え方は「品質マニュアル・ISO 文書を翻訳するには」のガイドにも整理しています。

セクション 6

よくある質問

図面(CAD データ)の中の文字も翻訳できますか?
図面ファイルそのものは翻訳の対象になりません。翻訳ツールが扱えるのは Word・Excel・PowerPoint・PDF・テキストといった文書ファイルです。仕様書・特記仕様書・数量表・質疑回答書・設計説明書はこれらの形式であることが多く、書式を保ったまま訳せます。図面の凡例や注記については、PDF の中に文字として入っていれば対象になりますが、画像として貼り込まれている場合は対象外です。着手前に、どの資料がどの形式かを洗い出し、図面側で対応するぶんを切り分けておくと、後半で慌てずに済みます。
外国語版を、契約図書として扱ってよいですか?
本ガイドでは判断できません。どの図書を契約の対象とするか、日本語版と外国語版のどちらを正とするか、設計図書相互の優先順位をどう定めるかは、契約の定めや発注者との取り決めによって異なります。自社の工事担当部門・法務部門で確認し、必要に応じて弁護士など所管の専門家にご相談ください。運用としては、外国語版に「参考訳」であることと、対応する原本の版数・改訂日を明記しておくことをおすすめします。
海外の建築基準に合っているかも、翻訳で確認できますか?
できません。翻訳は、書かれている内容を別の言語で同じように読める形にする工程であり、内容が現地の法令や規準に適合しているかを判断するものではありません。海外で施工する場合、適用される規準・許認可・提出書類の要件は国や地域によって異なります。現地の設計事務所や所管の審査機関、建築士など所管の専門家にご確認ください。翻訳版を用意することと、適合を確認することは別の作業として進めてください。
何か国語も必要です。言語ごとに作り直しになりますか?
多言語対応の翻訳ツールであれば、同じ原本・同じ用語辞書から複数言語の版を作れます。用語辞書に工種名・部材名・仕様の呼び方を登録しておけば、言語が増えても訳語がそろいます。実務的には、まず必要性の高い言語から用意し、必要になった言語を足していく進め方で構いません。同じ元ファイルから言語ごとの版を作る運用にしておくと、原本に改訂が入ったときに全言語へ反映しやすくなります。
契約前の見積条件を含む資料を、翻訳サービスにかけても大丈夫ですか?
「どこで処理されるか」の確認が先です。クラウド型のサービスは入力した本文が提供元のサーバーに送られるため、契約前の条件や発注者に関する情報を含む資料では、自社の情報管理のルールおよび発注者との取り決めとの整合を確認する必要があります。手元(ローカル)で処理し、自社の AI キーで動かす方式(BYOK)であれば、資料を翻訳サービス事業者にアップロードせずに翻訳できます。判断に迷う場合は、一般事項など公開しても差し支えのない部分だけを先に訳し、条件に関わる部分は取り決めが固まってから進める、という方法もあります。詳しくは「社内文書を安全に翻訳する方法」のガイドをご参照ください。
改訂のたびに全ページ訳し直すことになりませんか?
翻訳メモリと用語辞書を引き継げば、その必要はありません。変わっていない記述には前回と同じ訳文が当たるため、確認の手間を変わった箇所に集中させられます。合わせて、改訂の履歴が原本側で追える状態(どの条項が変わったかが分かる形)にしておくと、翻訳版の差し替え範囲もはっきりします。辞書とメモリは担当者の手元ではなく、部門で引き継げる場所に置いてください。担当交代のたびに訳語が変わることが、現場での取り違えを生む原因になります。

ご紹介

仕様書を、手元で・書式そのまま翻訳するツールのご紹介

当社の Insight Doc Translator は、Word・Excel・PowerPoint・PDF をドラッグ&ドロップするだけで、レイアウトや書式を保ったまま多言語に翻訳するデスクトップアプリです。表組みや条項番号の階層を保って翻訳し、用語辞書で工種名・部材名・仕様の呼び方の訳語を統一、寸法・規格番号・図面番号は「訳さない語」として保護、翻訳メモリで改訂前から変わらない記述には同じ訳を当てられます。資料は PC の外に出ない手元処理(BYOK)のため、契約前の条件を含む図書を扱う場合にも向いています。無料版をご用意していますので、まずは仕様書 1 章ぶんからお試しください(FREE 版のダウンロードはメールアドレスの登録なしでご利用いただけます)。相手に渡す版は、記載内容に責任を持つ所管の部門の確認を経てからのご提供をおすすめします。

  • Word・Excel・PowerPoint・PDF・テキストに対応
  • 表組み・条項番号・箇条書きの階層・注記を保持したまま翻訳
  • 用語辞書で工種名・部材名の訳語を統一/寸法・規格番号・図面番号を保護
  • 翻訳メモリで改訂前から変わらない記述の訳語がぶれない
  • BYOK(自社の AI キーで運用)/資料は PC の外に出ない

導入のご相談は info@h-insight.jp まで