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🌐 実務ガイド

安全データシート(SDS)を書式を保ったまま翻訳するには
項目構造を崩さず、正確に多言語で用意する

化学品を海外へ輸出する、外国語話者が扱う現場に供給する、海外拠点と成分情報を共有する——こうした場面では、「安全データシート(SDS)を、決められた項目構造や表を崩さずに、正確な訳で複数の言語で用意したい」 という課題に必ず突き当たります。SDS は、危険有害性・取扱い・応急措置など安全に直結する情報が、決められた項目立てと表組みの中に収まった文書です。項目の順番を崩したり、専門用語の訳をばらつかせたりすると、読み手が危険を正しく把握できなくなります。本ガイドでは、SDS を項目構造を保ったまま翻訳し、多言語で用意する実務の進め方を、専門知識を前提とせずに整理します。

所要時間:7 分 / 最終更新:2026 年 7 月

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セクション 1

なぜ SDS の翻訳は難しくなりやすいのか

「海外向けに SDS を用意したい」と決めてから、各言語版がそろうまでには思った以上の手間がかかります。つまずきの原因は、次の 3 つに整理できます。

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項目立てと表組みそのものが決まっている文書

SDS は、製品の名称や供給者情報、危険有害性、組成、応急措置、取扱い・保管、物理的化学的性質といった項目が、決められた順番と構造で並ぶ文書です。本文だけをコピーして訳すと、項目の対応や成分表・物性表の行と列の対応が崩れ、どの項目にどの情報が入るのかが読み手に伝わらなくなります。表を含んだレイアウトを保ったまま訳す必要があります。

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危険有害性情報・専門用語の訳がぶれると意味が変わる

SDS には、危険有害性を伝える定型の文(注意喚起語・危険有害性情報・注意書き)や、分類の区分、化学名・成分名、CAS 番号などが繰り返し登場します。これらは安全に直結するため、訳語が製品ごと・ページごとにばらつくと、同じ危険性なのか別なのかを読み手が判断できなくなります。定型文や区分表現は、ぶれずに同じ訳語でそろえることが特に重要です。

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成分・分類の改訂や供給先追加のたびに更新が発生する

SDS は一度作って終わりではなく、成分の変更、分類の見直し、様式の改訂、供給先や仕向け地の追加にあわせて更新が続きます。1 製品でも複数言語、複数製品なら「製品数 × 言語数」で翻訳の総量が膨らみます。毎回すべてを一から訳し直していると、更新のたびに大きな手間がかかり、反映漏れも起きやすくなります。

※ 本ガイドは、内容が確定した SDS を「翻訳して用意する」工程を扱うもので、SDS に何をどう記載すべきか、どの様式・分類に従うべきかを定めるものではありません。SDS の記載事項・分類・仕向け地ごとに求められる様式や言語は、製品や販売先、各国・各地域の制度によって異なります。作成・記載内容の妥当性や、翻訳版をそのまま提供してよいかの判断は、化学品規制に詳しい専門家や所管の窓口にご確認ください。

セクション 2

SDS を翻訳する方法 — 比較

SDS の翻訳でよく使われる方法は、大きく 4 つあります。「項目構造・表を保ちたい」「専門用語をそろえたい」「成分・分類の改訂が続く」という SDS の性質に照らして、それぞれの向き不向きを押さえておきます。

翻訳の方法手間・スピード文書データの扱い向いているケース
専門の翻訳会社・SDS 作成サービスに依頼する専門性は高いが、時間と費用がかかる文書は依頼先にとどまる(取り決めによる)初版や、規制対応が必要な仕向け地向けの正式版
クラウド型の翻訳サービスに貼り付ける貼り付けるだけで速いが、項目構造・表は自分で作り直す本文がサービス提供元のサーバーに送られる社外秘の組成を含まない、内容把握のための下訳
翻訳 API を作成フローに組み込む仕組みを作れば速いが、導入・開発の手間がかかるAPI 提供元に送られる(契約で扱いを定められる場合あり)品質保証部門などが関与できる、大規模・継続的な運用
手元(ローカル)で処理する翻訳ツールファイルを渡すだけで速く、書式・表を保ったまま訳せる文書は PC の中で処理され、翻訳サービス事業者にはアップロードされない書式を保ち、成分・分類の改訂や言語追加に継続的に対応する運用

※ どれか 1 つに絞る必要はありません。規制対応が必要な仕向け地向けの正式版は専門の翻訳会社・SDS 作成サービスに依頼し、改訂の差分や社内・海外拠点向けの参照訳はツールで用意して有資格者・専門部門が確認する、と工程で使い分けるのが現実的です。

セクション 3

実務の進め方 — 「そろえる仕組み」を先に決める

SDS の翻訳品質は、訳し始める前の整理でほぼ決まります。安全に直結する情報を正確に、毎回同じ訳語でそろえるために、押さえておきたい点を 4 つにまとめます。

危険有害性の定型文・区分表現を用語辞書に登録する — 注意喚起語・危険有害性情報・注意書きといった定型の文や、分類の区分を表す表現は、SDS の中でも特にぶれが許されない部分です。これらを「毎回同じ訳語にする語・文」として用語辞書(用語集)に登録しておくと、製品や版をまたいでも表現がそろい、同じ危険性が同じ言い回しで伝わります。公的に定められた標準的な訳語がある表現は、それに合わせて登録しておくと安全です。

化学名・成分名・CAS 番号・製品名を保護する — 成分の化学名・製品名・供給者名や、CAS 番号のような番号は「訳さずそのまま残す語」として用語辞書に登録しておきます。固有名詞や番号が機械的な翻訳で勝手に意訳・改変される事故を防げます。数値・単位・番号はそのまま残す、と決めておくと、成分表・物性表の取り違えを防げます。

表・項目構造ごと翻訳する — Word・PDF・Excel などで作った SDS は、本文だけコピーして訳すと、16 項目の並びや成分表・物性表の行と列の対応が崩れます。ファイルのレイアウトを保ったまま翻訳できる方法を選ぶと、項目立てと表の構造を保った訳文がそのまま正式版のたたき台になり、組み直しの手間を大きく減らせます。訳出後は、有資格者・専門部門が項目ごとに内容を確認します。

共通部分は翻訳メモリで再利用する — SDS には、取扱い・保管上の一般的な注意、応急措置の定型表現、廃棄上の注意など、製品や版をまたいで繰り返し使う共通部分が多くあります。過去の訳文を蓄積して再利用する翻訳メモリを使うと、共通部分は以前の訳をそのまま当てて、成分や分類が変わった部分だけを訳せます。「製品数 × 言語数」で膨らむ更新の手間を抑えられます。

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翻訳の用語を統一して品質を安定させるには

専門用語や定型文の訳がばらつく問題は、SDS に限らず技術文書の翻訳運用に共通の課題です。用語集(用語辞書)で訳のぶれをなくす考え方と、最初に登録すべき語の選び方をこちらの実務ガイドに整理しています。

翻訳の用語統一ガイドを読む →

セクション 4

提供する正式版か、社内・拠点内の参照訳か — 目的で使い分ける

SDS の翻訳は、「取引先や現場に提供する正式版」なのか「社内や海外拠点で内容を把握するための参照訳」なのかで、求められる仕上がりと工程が変わります。どちらか一方に決めるのではなく、目的に応じて組み合わせるのが実務的です。

取引先・現場に提供する正式版

安全情報として届ける版

取引先や現場に提供し、実際の取扱い判断の根拠として使われる版です。SDS は安全に直結し、仕向け地ごとに求められる様式や記載も異なるため、機械的な下訳をそのまま提供するのではなく、化学品規制に詳しい有資格者・専門部門や、必要に応じて専門の翻訳会社の確認を必ず挟む前提で進めます。ツールは、その確認前の訳文の土台づくりとして使います。

社内・海外拠点向けの参照訳

内容を素早く把握する補助に

海外拠点や社内の関係者が、原文の SDS の内容を素早く把握したい場面で使う訳です。項目構造を保った訳文であれば、どの項目のどの情報かを指し示しながら共有・検討できます。参照訳は取引先への提供を前提にせず、外部に出す正式版は必ず有資格者・専門部門の確認を挟むのが安全です。

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発表前・機密の組成情報を安全に翻訳するには

未公開製品の SDS や、配合・組成に関わる機密情報を含む文書を、クラウド型の翻訳サービスに貼り付けてよいのか——。翻訳でデータがどこへ送られるか、処理場所による違い、手元(ローカル)処理・BYOK の考え方は、こちらの実務ガイドに整理しています。

社内文書の安全な翻訳ガイドを読む →

セクション 5

つまずきやすいポイント

SDS の翻訳運用で引っかかりやすい点を、先回りして 3 つ挙げておきます。

数値・単位・番号を訳文が書き換えてしまう — 濃度・含有量・沸点・引火点などの数値、単位、CAS 番号のような番号は、翻訳の対象ではなく「そのまま残すべき情報」です。機械的な翻訳でこれらが書き換えられると、安全に関わる重大な誤りになります。数値・単位・番号は原文と一致するか、訳出後に必ず突き合わせて確認する運用を決めておくと安全です。

画像・図記号の中の文字が元の言語のまま残る — 危険有害性を伝える絵表示や、図の中に焼き込まれた注記は、本文を訳しても画像の中の文字は残ります。図記号そのものは共通でも、そばの説明文が元の言語のままだと読み手が意味を取り違えます。画像内の文言を一覧にして別途訳す、といった段取りを最初に決めておくと、訳し忘れを防げます。

改訂したのに一部の言語や項目が古いまま残る — 成分や分類を改訂しても、各言語版や特定の項目への反映が漏れると、言語や版によって安全情報が食い違います。翻訳メモリで「変わった箇所」を特定しやすくし、改訂は必ず全言語・全項目に反映する運用と、どの言語がどの版に対応しているかを管理する表を用意しておくと、版のずれを防げます。

セクション 6

よくある質問

SDS を AI 翻訳や機械翻訳にかけた訳文は、そのまま取引先に提供できますか?
機械的な訳文は、社内での内容把握や下訳としては有用ですが、そのまま取引先へ提供するのは避けるのが基本です。SDS は安全に直結し、仕向け地ごとに求められる様式や記載も異なるため、外部に出す正式版は化学品規制に詳しい有資格者・専門部門や、必要に応じて専門の翻訳会社の確認を挟む前提で使います。記載内容の妥当性や提供の可否は、所管の窓口・専門家にご確認ください。
16 項目の並びや成分表・物性表を崩さずに、書式を保ったまま翻訳できますか?
できます。ファイルのレイアウトを保ったまま翻訳する方式のツールであれば、Word・PDF・Excel などの項目立てや表の行・列の配置を保って、本文だけを訳文に置き換えられます。本文をコピーして貼り付ける方式だと項目や表の対応が失われやすいため、構造が重要な SDS はファイルごと翻訳する方法が向いています。ただし、画像として焼き込まれた文字や絵表示のそばの注記は別途対応が必要です。
危険有害性情報や成分名の訳がばらつくのを防ぐには?
訳語を固定できる用語辞書の活用が基本です。注意喚起語・危険有害性情報・注意書きといった定型文や分類の区分表現を「毎回同じ訳語にする語・文」として、化学名・製品名・CAS 番号を「訳さずそのまま残す語」として登録しておけば、製品や版をまたいでも表現がそろい、固有名詞や番号が意訳・改変される事故を防げます。公的に定められた標準的な訳語がある表現は、それに合わせて登録します。
未公開製品や機密の組成を含む SDS を、翻訳サービスにかけても大丈夫ですか?
「どこで処理されるか」の確認が先です。クラウド型のサービスは入力した本文が提供元のサーバーに送られるため、未公開製品や配合・組成に関わる機密を含む文書では、社内の情報管理ルールとの整合を確認する必要があります。手元(ローカル)で処理し、自社の AI キーで動かす方式(BYOK)であれば、文書を翻訳サービス事業者にアップロードせずに翻訳できます。詳しくは「社内文書を安全に翻訳するには」のガイドをご参照ください。
英語だけでなく、複数の言語で SDS を用意したい場合は?
元になる日本語版(または英語版)を 1 つ正本として定め、そこから各言語へ展開するのが基本です。言語ごとに別の原稿から訳すと、言語間で内容がずれます。多言語対応の翻訳ツールであれば、同じ原文・同じ用語辞書から複数言語の訳文を作れるため、内容をそろえやすくなります。どの言語がどの版に対応しているかを管理しておくと、改訂の反映漏れも防げます。ただし各言語版は、外部に出す前に有資格者・専門部門の確認を挟んでください。

ご紹介

SDS を、手元で・書式そのまま翻訳するツールのご紹介

当社の Insight Doc Translator は、Word・PDF・Excel・PowerPoint をドラッグ&ドロップするだけで、レイアウトや書式を保ったまま多言語に翻訳するデスクトップアプリです。SDS の項目立てや成分表・物性表の配置を保って翻訳し、用語辞書で危険有害性の定型文や分類の区分を「毎回同じ訳語にする語」として統一、化学名・製品名・CAS 番号は「訳さない語」として保護、翻訳メモリで取扱い・応急措置などの共通部分を再利用できます。文書は PC の外に出ない手元処理(BYOK)のため、機密の組成を含む SDS の下訳・参照訳づくりにも向いています。無料版をご用意していますので、まずは 1 つの SDS からお試しください(FREE 版のダウンロードはメールアドレスの登録なしでご利用いただけます)。取引先に提供する正式版は、有資格者・専門部門の確認を前提にお使いください。

  • Word・PDF・Excel・PowerPoint・テキストに対応
  • 16 項目の項目立て・成分表・物性表のレイアウトを保持したまま翻訳
  • 用語辞書で危険有害性の定型文・区分を統一・化学名や CAS 番号は「訳さない語」に指定
  • 翻訳メモリで共通部分を再利用・成分/分類の改訂差分だけ翻訳
  • BYOK(自社の AI キーで運用)/文書は PC の外に出ない

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