5S 教育を動画で実施するには
製造現場に「同じ内容で繰り返し届けて・定着させる」進め方
整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)という 5S の考え方や、自社での置き場・表示・清掃のルールを、現場に配属される作業者へ繰り返し伝えていく――そんな 5S 教育を、動画にして現場の作業者へ同じ内容で繰り返し届ける ための進め方を整理します。製造・品質・現場管理・教育の担当の方向けに、教育で扱う内容の切り分け、受講記録(証跡)の残し方、ルール改訂のたびの運用までを実務目線でまとめました。特別な知識は前提としません。
所要時間:7 分 / 最終更新:2026 年 7 月
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セクション 1
なぜ 5S 教育を「動画」にするのか
5S は一度説明して終わりではなく、現場に人が入るたび・配置が変わるたびに繰り返し伝え、日々の習慣として定着させていく取り組みです。作業者は入社・異動・配置換えのたびに生まれ、ライン・工程・拠点ごとにばらばらに発生します。集合で時間をそろえようとすると、生産の都合で日程が合わず後回しになりがちです。動画化が選ばれるのは、次の 3 つの理由によります。
現場に入る作業者へ確実に届けたい
5S の考え方や、置き場・表示・清掃といった自社ルールは、実際に現場で作業する人にこそ届けておきたいものです。ライン稼働中で手を止めにくい作業者を集合教育で一度に集めようとすると日程がそろわず、後回しになりがちです。動画にしておけば、配属や本人の都合に合わせて、対象の作業者へ確実に同じ内容を届けられます。
定期的に・繰り返し必要になる
5S 教育で扱う「なぜ 5S を行うのか」「整理・整頓・清掃・清潔・躾それぞれの意味」「自社の置き場・表示のルール」といった土台は、いつ・誰が対象でも大きくは変わりません。新しく現場に入る人は入社・異動のたびに発生し、繰り返しの意識づけも求められます。一度動画にしておけば、対象者が出るたびに同じ内容を同じ品質で届けられます。
「現場に受けてもらった」記録を残しておきたい
品質管理や監査の場面で、現場の作業者へ 5S 教育を行ったという記録を整えておきたいことがあります。誰にいつ何を伝えたかを後から確認できるようにしておきたいこともあります。動画を学習管理の仕組みと組み合わせると、誰がいつ受講したかをそろえて残しやすくなります。
※ 本ガイドは 5S 教育を動画で実施する運用方法を整理するもので、5S の進め方そのものや、業種・取引先の要求事項・品質マネジメント規格への適合を示すものではありません。教育すべき内容や求められる記録は、製品・工程・現場の状況や自社の品質方針・取引先の要求によって異なります。詳細は自社の品質管理部門や関係する部署にご確認ください。
セクション 2
教育で扱う内容の種類と動画化の相性
ひとくちに 5S 教育といっても、扱うテーマは 5S の考え方の座学から、現場での実地指導まで幅があります。動画化との相性は内容によって変わるため、まずどの部分を動画にするかを切り分けると、進め方を整理しやすくなります。
| 扱う内容 | 主な対象 | 動画化との相性 | 進めるときのポイント |
|---|---|---|---|
| 5S の考え方・目的(なぜ 5S を行うか) | 現場の作業者 共通 | 整理・整頓・清掃・清潔・躾それぞれの意味と、5S が安全・品質・効率につながる理由の説明は、誰が対象でも共通し毎回同じ内容のため相性が良い | 「1 画面 = 1 メッセージ」で、まずこの土台部分を 1 本にまとめる |
| 自社の置き場・表示・清掃のルール | 現場の作業者 | 工具・部品・治具の置き場、区画線や表示ラベルの見方、清掃の分担といった自社ルールは、写真や現場の映像で示せば動画化しやすい | 自社の良い状態・悪い状態を写真で対比させると、言葉だけより伝わりやすい |
| 改善事例・ビフォーアフターの共有 | 現場の作業者・リーダー | 現場で実際に行った 5S の改善(置き場の見直し・表示の統一など)をビフォーアフターで見せる紹介は、動機づけとして動画化に向く | 改善事例は入れ替わりやすいため、後から差し替えられるよう題材を分けておく |
| 現場での実地指導・巡回チェック | 作業者ごと・個別 | 実際の作業場所を見ながらの助言や、工程・レイアウトに応じた個別指導は、その場のやり取りが必要なため動画だけで完結させにくい | 動画で 5S の考え方と自社ルールをそろえたうえで、現場での確認は別途実施する |
※ 扱うべき内容や教育の範囲は、製品・工程・取引先の要求事項や自社の品質方針によって異なります。動画はあくまで教育を実施する手段の一つであり、求められる内容を満たすかどうかは自社の方針にあわせてご確認ください。
セクション 3
実務の進め方 — まず共通の 1 本を作る
5S 教育の動画化でつまずきやすいのは、5S の考え方から自社ルール・改善事例まで一度に動画化しようとして動き出せなくなるパターンです。まずは現場の作業者が共通で対象になる「5S の考え方と目的」を 1 本作って実施してみると、自社に合った進め方や負担の見当がつきます。
共通の土台(5S の考え方・目的)から動画化する — 整理・整頓・清掃・清潔・躾それぞれの意味や、5S が安全・品質・効率につながる理由は、毎回ほぼ同じ内容を説明するため動画化の効果が出やすいテーマです。まずそこから 1 本作り、運用しながら自社の置き場・表示のルールや改善事例へ範囲を広げていくと無理がありません。
既存の資料や現場の写真をスライドに整理して教材化する — 多くの教材作成・動画化ツールはスライド(PowerPoint)を素材として扱います。すでに 5S の手引きやルールをまとめた資料、現場の良い状態・悪い状態の写真がある場合は、「1 画面 = 1 メッセージ」を目安にスライドへ整理すると、そのまま動画の土台になります。
ナレーションは目的に合わせて選ぶ — 自分の声で録音する、台本から合成音声(TTS)で生成する、といった選択肢があります。定期的に内容を見直す・本数が増えていく・多言語でも用意したい場合は、台本を直せば作り直せる合成音声(TTS)が運用しやすい方式です。
研修動画の作り方 — 6 ステップの実務ガイド
5S 教育の動画も、企画 → 台本 → スライド → ナレーション → 書き出し → 配信という基本の流れは研修動画と同じです。台本の書き方やナレーションの選択肢の比較は、こちらの実務ガイドに整理しています。
研修動画の作り方を読む →セクション 4
受講した記録(証跡)をどう残すか
5S 教育は「現場の作業者に必要な内容を届けた記録」を残しておきたい場面があります。動画を用意したら、誰がいつ受講したかを残す方法もあわせて決めておきます。残し方は大きく 2 つです。
動画を配って視聴してもらう(MP4 共有)
まず始めるならファイルサーバーや現場のタブレット・社内ポータルで動画を配り、視聴してもらう運用です。追加のシステムが不要で、すぐに始められます。一方で誰が最後まで視聴したかは記録されないため、確認テストや受講報告など別の方法で管理する必要があります。受講管理の仕組みがまだ無い段階の出発点として現実的です。
LMS で受講管理する(SCORM)
証跡が必要なら教材を SCORM 形式で LMS(学習管理システム)に登録すると、受講者ごとの完了状況や学習時間を LMS が自動で記録します。作業者の受講漏れを防ぎたい・後から実施記録を確認したい場面では、この受講記録がそのまま証跡になり、一覧で進捗を確認できます。無料・オープンソースの LMS もあり、まずは小さく試すこともできます。
SCORM 1.2 入門ガイド
受講記録を残すうえで避けて通れないのが SCORM 規格です。SCORM とは何か、なぜ重要か、対応 LMS、書き出しの流れまでをまとめた入門ガイドをご用意しています。サンプル SCORM 1.2 パッケージも無料でダウンロードできます。
SCORM 1.2 入門ガイドを読む →セクション 5
つまずきやすいポイント
5S 教育を動画で実施するときに引っかかりやすい点を、先回りして 3 つ挙げておきます。
「見せて終わり」にせず、日々の現場の習慣に結びつける — 動画を一方的に視聴させるだけでは、5S の考え方は伝わっても現場の状態が変わりにくいことがあります。視聴後に簡単な確認テストを添えたり、置き場・表示・清掃のチェックリストや巡回のしくみとあわせて渡したりすると、教育が日々の 5S 活動に結びつきやすくなります。現場での実地確認と組み合わせるのも有効です。
自社ルール・写真・改善事例は最新に保つ — 置き場や表示のルール、現場の写真、改善事例は、レイアウト変更や工程の見直しで変わることがあります。古い状態のまま教育が使われ続けると、作業者に実際とは違う前提が伝わりかねません。ルール・写真・事例に触れる箇所は、更新のタイミングと担当を決めておき、変わったら差し替えます。
外国人材や交替勤務の作業者にも伝わる形にする — 外国人材が働く現場では、内容が母語で伝わらないと 5S の定着に直結します。台本を各言語に用意して合成音声(TTS)でナレーションを生成すれば、同じ教材を複数の言語で展開できます。字幕を付けておくと、音を出しにくい現場や聞き取りの補助にもなり、多くの作業者に伝わりやすくなります。
セクション 6
よくある質問
5S 教育を動画で実施してもよいのですか?
現場での実地指導は動画に置き換えられますか?
どの内容から動画にするのがよいですか?
受講した記録(証跡)はどう残せますか?
ルールの見直しや外国人材の作業者にはどう対応すればよいですか?
ご紹介
5S 教育の動画づくりに使えるツールのご紹介
当社の Insight Training Studio は、PowerPoint を素材として研修・教育動画を作成するデスクトップアプリです。既存の 5S の手引きや現場の写真をスライドに整理し、台本をスピーカーノートに集約 → 合成音声でナレーション生成 → MP4 書き出し、受講記録が必要なら SCORM 1.2 でパッケージ出力、という本ガイドの流れをそのまま 1 つのアプリ内で進められます。無料版をご用意していますので、まずは 5S の考え方の教育 1 本からお試しください。
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