研修動画の作り方
企画から配信まで 6 ステップの実務ガイド
研修動画を自社で作りたい総務・人事・教育担当の方向けに、企画 → 台本 → スライド → ナレーション → 書き出し → 配信 の流れを実務目線で解説します。撮影機材や動画編集の専門知識は前提としません。
所要時間:7 分 / 最終更新:2026 年 6 月
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セクション 1
なぜ研修動画が選ばれるようになったのか
集合研修がなくなるわけではありませんが、「毎回同じ内容を講師が繰り返し説明する」部分を動画に置き換える企業が増えています。背景として、次の 3 点がよく挙げられます。
集合研修の日程調整の負担
講師と受講者の日程を合わせる調整、会場の確保、入社時期がばらばらな中途入社者への個別対応など、集合形式は開催のたびに準備コストがかかります。動画であれば、受講者が自分のタイミングで視聴できます。
繰り返し視聴できる
一度の説明では覚えきれない業務手順や安全ルールを、受講者が必要なときに何度でも見返せます。「あとで確認したい」に応えられるのは動画の大きな利点です。
拠点間・講師間の品質を揃えやすい
複数拠点で同じ研修を行う場合、講師によって説明の粒度や強調点が変わりがちです。動画なら全拠点に同じ内容を同じ品質で届けられます。
※ 実技指導や双方向のディスカッションなど、対面が適している研修もあります。動画は「知識伝達の部分」を担う手段として位置づけるのが現実的です。
セクション 2
作り方の全体像 — 6 ステップ
研修動画の制作は、撮影を伴わない「スライド + ナレーション」型であれば、次の 6 ステップで進められます。多くの企業では既存の研修資料(PowerPoint)があるため、ゼロから作るケースは実は少数です。
- 1
企画 — 対象者・目的・本数を決める
「誰に・何を・どこまで」を最初に決めます。実務上のポイントは 1 本に詰め込みすぎないこと。「安全衛生」「業務手順」「社内ルール」のようにテーマ単位で分割し、1 テーマ = 1 本にすると、改訂時も該当の 1 本だけ作り直せば済みます。
- 2
台本 — 話し言葉で書く
ナレーション原稿は、書き言葉のまま読み上げると硬く聞き取りにくくなります。「〜である」を「〜です」に、一文を短くするのが基本です。PowerPoint のノート欄(スピーカーノート)に台本を書いておくと、スライドと台本が常に対で管理でき、後工程が楽になります。
- 3
スライド — 1 スライド 1 メッセージ
投影用の資料をそのまま使うと文字が多すぎることがあります。動画では「ナレーションで説明し、スライドは要点だけ」が見やすい構成です。既存資料を使う場合は、文字を間引いて図や写真を足す程度の調整で十分です。
- 4
ナレーション — 録音・合成音声(TTS)・外注から選ぶ
ナレーションの付け方は大きく 3 通りあります(次のセクションで比較します)。どの方式でも、台本がしっかりしていれば品質は安定します。先に台本を固めてからナレーション方式を選ぶ順番がおすすめです。
- 5
書き出し — MP4 形式が標準
完成した動画は MP4 形式で書き出すのが一般的です。社内の視聴環境(PC・タブレット・スマートフォン)を想定し、フル HD(1080p)程度の解像度にしておけば多くの環境で問題なく再生できます。字幕を付けておくと、音を出せない環境でも視聴できます。
- 6
配信 — ファイル共有か LMS か
出来上がった動画をどう届けるかは「視聴の証跡が必要かどうか」で分かれます。ファイルサーバーや社内ポータルでの共有は手軽ですが、誰がいつ見たかは記録されません。受講管理が必要な場合は LMS(学習管理システム)への登録を検討します(セクション 4 で解説)。
セクション 3
ナレーションの 3 つの選択肢
ナレーションは「自分で録音」「合成音声(TTS)」「ナレーター外注」の 3 方式があります。どれが正解ということはなく、本数・改訂頻度・求める音声品質によって向き不向きが分かれます。
| 方式 | 準備するもの | 特徴 | 改訂時 | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|
| 自分で録音 | マイク・静かな環境 | 担当者や講師本人の声で親しみやすい。録音環境や話し方によって品質が変動しやすい | 該当箇所を録り直し | 本数が少なく、講師の人柄も伝えたい研修 |
| 合成音声(TTS) | 台本テキスト | 台本から音声を自動生成。声質は一定で、録音環境が不要。聞き取りやすさは年々向上している | 台本を直して再生成 | 本数が多い・改訂が頻繁・多言語化を見据える研修 |
| ナレーター外注 | 台本・発注先との調整 | プロ品質の音声。発注・収録・検収のリードタイムが発生する | 再発注が必要 | 会社案内など、音声品質を特に重視する少数の動画 |
※ 1 つの方式に統一する必要はありません。「通常の研修は合成音声(TTS)、トップメッセージは本人の録音」のような使い分けも現実的です。
セクション 4
配信形態 — MP4 共有と LMS(SCORM)
配信方法は、受講管理の要否で選びます。判断基準はシンプルで、「誰が最後まで見たかを記録として残す必要があるか」です。
MP4 をそのまま共有
手軽さ重視ファイルサーバー・社内ポータル・チャットツールなどで動画ファイルを共有する方法です。追加のシステムが不要ですぐ始められる一方、視聴したかどうかは記録されないため、受講確認が必要な場合は別途アンケートや報告などの手作業が発生します。
LMS に SCORM パッケージとして登録
受講管理重視LMS(学習管理システム)に動画を SCORM 形式で登録すると、受講者ごとの完了ステータス・視聴時間・再生位置を LMS が自動記録します。安全衛生研修やコンプライアンス研修など「実施した証跡」が求められる研修では、この方式が標準的です。
SCORM 1.2 入門ガイド
SCORM とは何か、なぜ重要か、対応 LMS、書き出しの流れまでをまとめた入門ガイドです。サンプル SCORM 1.2 パッケージも無料でダウンロードできます。
SCORM 1.2 入門ガイドを読む →セクション 5
多言語化の論点 — 外国人材向け研修
外国人材を受け入れている職場では、研修動画の多言語化が論点になります。特に安全衛生に関わる内容は、字幕よりも母国語のナレーション(音声)で届けることが望ましいとされます。作業中に字幕を読む余裕がない場面が多いためです。
台本を 1 つに集約しておく — 翻訳の起点になるのは台本です。ステップ 2 で台本をスピーカーノートに集約してあれば、多言語化はその翻訳から始められます。
言語ごとに別の動画として管理する — 1 本の動画に多言語字幕を重ねるより、言語ごとに別動画(別ナレーション)として作る方が、受講管理も改訂も扱いやすくなります。
合成音声(TTS)は多言語化と相性がよい — 言語ごとにナレーターを手配する必要がなく、翻訳した台本から各言語の音声を生成できます。
育成就労 2027 研修整備チェックリスト
2027 年 4 月施行の育成就労制度では、外国人材向け研修の整備が受入企業の実務課題になります。母国語研修・完了証跡の論点を 10 項目のチェックリストで整理しています。
チェックリストを読む →セクション 6
よくある質問
撮影機材やカメラは必要ですか?
1 本の動画はどのくらいの長さにすべきですか?
既存の PowerPoint 資料はそのまま使えますか?
内製と外注はどちらがよいですか?
受講したかどうかの記録を残すにはどうすればよいですか?
関連ガイド
PowerPoint を動画化する方法
手元の PowerPoint 資料をナレーション付き動画(MP4)にする 3 つの方法(標準機能・画面録画・動画化ツール)の比較と、つまずきやすいポイントを整理しています。
ご紹介
PowerPoint から研修動画を作るツールのご紹介
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