HARMONIC insight
🧭 実務ガイド

メンタルヘルス研修を動画で実施するには
セルフケアとラインケアを「同じ内容で毎年届ける」進め方

ストレスとの付き合い方や不調のサインへの気づきといったセルフケアの基礎、部下の変化に気づいて話を聞き相談先へつなぐラインケア、社内の相談窓口や制度の周知――メンタルヘルス研修は、全従業員向けと管理職向けを毎年繰り返すことが多い一方、対象者が多く、日程調整や講師の確保が担当者の負担になりがちです。この研修を、動画にして同じ内容で毎年繰り返し届ける ための進め方を整理します。人事・総務・健康管理の担当者の方向けに、研修で扱う内容の切り分け、受講記録(証跡)の残し方、メンタルヘルスというテーマならではの教材づくりの配慮までを実務目線でまとめました。特別な知識は前提としません。

所要時間:7 分 / 最終更新:2026 年 8 月

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セクション 1

なぜメンタルヘルス研修を「動画」にするのか

メンタルヘルス研修は、セルフケアは全従業員に、ラインケアは管理職に、と階層別に毎年実施することが多いテーマです。集合研修で回そうとすると、対象者の多さと日程調整、毎年同じ内容を話す講師の確保が積み重なります。動画化が選ばれるのは、次の 3 つの理由によります。

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毎年・階層別に同じ内容を繰り返す

セルフケアの基礎は全従業員に毎年、ラインケアの基本は管理職に昇格のたびに、と繰り返し伝えることになりがちなテーマです。新入社員や中途入社、新任管理職はそのつど発生するため、講師役はそのたびに同じ話をすることになります。一度動画にすれば、対象者が出たタイミングに合わせて同じ内容をすぐ届けられ、毎年の見直しも台本の該当箇所を直すだけで済みます。

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対象者が多く、全員を集めるのが難しい

全従業員が対象になると、拠点や部門、勤務形態の違いで全員がそろう日程はまず組めません。管理職向けも、会議や外出の多い層だけに日程調整の負担が大きくなります。動画にしておけば、各自が業務の合間に自分のタイミングで視聴でき、開催回数を重ねる必要がなくなります。落ち着いて 1 人で視聴できることは、このテーマとの相性という点でも利点があります。

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誰がいつ受講したかを残しておきたい

メンタルヘルス研修は「実施したこと」「誰が受講したこと」を整理して残しておきたい場面が多い研修です。紙の出席簿や回覧のサインでは、拠点や従業員数が増えるほど集計と保管が負担になります。動画を学習管理の仕組みと組み合わせると、誰がいつ視聴を終えたかをそろえて残しやすくなります。

※ 本ガイドはメンタルヘルス研修を動画で実施する運用方法を整理するもので、労働安全衛生法やストレスチェック制度、厚生労働省の指針への適合を示すものではありません。研修の要否・内容・頻度・対象は、事業場の規模や業種、自社の安全衛生体制によって異なります。詳細は産業医・保健師・衛生管理者などの産業保健スタッフや、社会保険労務士など所管の専門家にご確認ください。

セクション 2

研修で扱う内容の種類と動画化の相性

ひとくちにメンタルヘルス研修といっても、全従業員向けのセルフケアから、管理職による個別の対応まで幅があります。動画化との相性は内容によって変わるため、まずどの部分を動画にするかを切り分けると、進め方を整理しやすくなります。

扱う内容主な対象動画化との相性進めるときのポイント
セルフケアの基礎知識(ストレスへの気づきと対処・生活習慣・相談することの意義)全従業員 共通毎年ほぼ同じ内容を全員に伝えるため相性が良い。各自が 1 人で落ち着いて視聴できる点もこのテーマに合う「1 画面 = 1 メッセージ」で、まず全従業員向けの土台を 1 本にまとめる
ラインケアの基本(部下の変化への気づき・話の聞き方・相談先へのつなぎ方)管理職・評価者新任管理職が出るたびに繰り返すため動画に向く。迷いやすい場面を例示しながら伝えられる「管理職が 1 人で抱え込まず、産業保健スタッフや人事へつなぐ」を軸に構成する
社内の相談窓口・制度の周知(相談窓口の案内・ストレスチェックの受け方・休職/復職の手続きの入口)全従業員 共通自社の窓口と制度の案内は迷いなく伝えられ、変わったときも差し替えやすい窓口・制度の記載は人事・産業保健スタッフの確認を経て教材化する
個別対応(不調がうかがわれる部下との面談・受診や休職に関わる対応)管理職・個別個別の状況判断と本人への配慮が必要で、動画だけで完結させるのは向かない動画で共通の前提をそろえ、個別対応は産業保健スタッフ・人事と連携して行う

※ 扱うべき内容・頻度・対象は、事業場の規模・業種や自社の安全衛生体制によって異なります。動画はあくまで研修を実施する手段の一つで、本ガイドは医学的な内容の正しさを扱いません。教材の中身は産業医・保健師などの産業保健スタッフの確認を経て整えてください。

セクション 3

実務の進め方 — まず全従業員共通の 1 本を作る

メンタルヘルス研修の動画化でつまずきやすいのは、セルフケアからラインケア・制度の説明まで一度に盛り込もうとして動き出せなくなるパターンです。まずは全従業員が共通で対象になる「セルフケアの基礎と相談窓口の周知」を 1 本作って実施してみると、自社に合った進め方や負担の見当がつきます。

全従業員共通のセルフケアから動画化する — セルフケアの基礎と社内の相談窓口の案内は、部署や役職を問わずほぼ同じ内容を伝えるため、動画化の効果が出やすい領域です。まずそこから 1 本作り、運用しながら管理職向けのラインケア編へ広げていくと無理がありません。

既存の研修資料をスライドに整理して教材化する — 多くの教材作成・動画化ツールはスライド(PowerPoint)を素材として扱います。これまで集合研修で使ってきた資料や、公的機関が公開している啓発資料を参考に「1 画面 = 1 メッセージ」を目安でスライドへ整理すると、そのまま動画の土台になります。自社の窓口・制度のページは、産業保健スタッフや人事の確認を経て組み込みます。

1 本を短くまとめ、階層別に分ける — 全従業員向けのセルフケア編と管理職向けのラインケア編は、対象も伝える内容も違うため、別々の本に分けておきます。1 本を短く区切っておくと、業務の合間に視聴しやすく、制度や窓口が変わったときの差し替えも一部だけで済みます。

ナレーションは目的に合わせて選ぶ — 自分の声で録音する、台本から合成音声(TTS)で生成する、といった選択肢があります。毎年の見直しで内容を更新する・階層別に本数が増えていく・外国人材向けに多言語でも用意したい場合は、台本を直せば作り直せる合成音声(TTS)が運用しやすい方式です。

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研修動画の作り方 — 6 ステップの実務ガイド

メンタルヘルス研修の動画も、企画 → 台本 → スライド → ナレーション → 書き出し → 配信という基本の流れは研修動画と同じです。台本の書き方やナレーションの選択肢の比較は、こちらの実務ガイドに整理しています。

研修動画の作り方を読む →

セクション 4

受講した記録(証跡)をどう残すか

メンタルヘルス研修は「実施したこと」「誰が受講したこと」を整理して残しておきたい場面が多い研修です。動画を用意したら、誰がいつ受講したかを残す方法もあわせて決めておきます。残し方は大きく 2 つです。

動画を配って視聴してもらう(MP4 共有)

まず始めるなら

ファイルサーバーや社内ポータルで動画を配り、視聴してもらう運用です。追加のシステムが不要で、すぐに始められます。一方で誰が最後まで視聴したかは記録されないため、視聴後の確認テストや受講報告など別の方法で管理する必要があります。受講管理の仕組みがまだ無い段階の出発点として現実的です。

LMS で受講管理する(SCORM)

証跡が必要なら

教材を SCORM 形式で LMS(学習管理システム)に登録すると、受講者ごとの完了状況や学習時間を LMS が自動で記録します。全従業員向けの研修で受講漏れを防ぎたい・実施状況を一覧で確認したい場面では、この受講記録がそのまま証跡になります。無料・オープンソースの LMS もあり、まずは小さく試すこともできます。記録の扱いを社内で定めている場合は、その基準にあわせて運用を整えてください。

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SCORM 1.2 入門ガイド

受講記録を残すうえで避けて通れないのが SCORM 規格です。SCORM とは何か、なぜ重要か、対応 LMS、書き出しの流れまでをまとめた入門ガイドをご用意しています。サンプル SCORM 1.2 パッケージも無料でダウンロードできます。

SCORM 1.2 入門ガイドを読む →

セクション 5

つまずきやすいポイント

メンタルヘルス研修を動画で実施するときに引っかかりやすい点を、先回りして 3 つ挙げておきます。

個別対応・面談の練習は動画に置き換えない — ラインケアの核心である「不調がうかがわれる部下への個別の対応」は、相手の状況や関係性に応じた判断を伴うため、動画の視聴だけで完結させるのは向きません。動画が得意なのは、気づきの視点や相談先へのつなぎ方といった、管理職全員に共通する前提をそろえる部分です。事例検討やロールプレイが必要であれば、動画で前提をそろえたうえで別途実施します。

医学的な判断に踏み込まない — 教材で病名の見立てや受診の要否の判断基準を示すと、正確さの担保が難しく、受け取り方によっては誤った自己判断や決めつけにつながりかねません。教材は「変化に気づいたら決めつけずに話を聞き、産業保健スタッフや相談窓口へつなぐ」までに絞り、医学的な内容に触れる部分は産業医・保健師などの確認を経て載せるのが安全です。

受講する側への配慮を織り込む — 受講者の中に不調を経験した人・現に抱えている人がいる前提で、表現や事例の描き方に配慮します。特定の個人を連想させる事例を使わない、不調を責めるような言い回しを避ける、といった点は教材化の前にチェックしておきます。各自が 1 人のタイミングで視聴できるのは動画の利点なので、一斉視聴を強制する運用にしないことも配慮の一つです。字幕を付けておくと音を出しにくい環境でも視聴でき、外国人材が働く職場では台本を各言語に用意して合成音声(TTS)でナレーションを生成すれば、同じ教材を複数の言語で展開できます。

セクション 6

よくある質問

ストレスチェック制度と研修はどう関係しますか?
ストレスチェックは労働安全衛生法に基づく仕組みで、一定規模以上の事業場に実施が義務付けられています(対象を広げる法改正の動きも報じられています)。研修はストレスチェックそのものとは別の取り組みですが、セルフケアの教育や職場環境づくりとあわせて語られることが多く、自社でどう位置づけるかは事業場の体制によって異なります。制度の適用や実施方法の詳細は、産業医などの産業保健スタッフや社会保険労務士にご確認ください。
メンタルヘルス研修の実施は義務ですか?
厚生労働省は職場のメンタルヘルス対策に関する指針を示しており、セルフケアやラインによるケアといった取り組みが継続的・計画的に行われることが重要とされています。もっとも、個々の研修の要否や位置づけ・頻度は、事業場の規模や業種、自社の安全衛生体制によって異なり、本ガイドで判断できるものではありません。自社での扱いは、産業保健スタッフや社会保険労務士など所管の専門家にご確認ください。
どの内容から動画にするのがよいですか?
全従業員に共通する「セルフケアの基礎と社内の相談窓口の周知」から始めるのがおすすめです。部署や役職を問わず同じ内容を伝えるため動画化の効果を実感しやすく、これまでの研修資料を再利用できれば、ゼロから作るより早く着手できます。運用に慣れてから、管理職向けのラインケア編へ範囲を広げていくと無理がありません。
受講した記録(証跡)はどう残せますか?
当面は動画を配って確認テストや受講報告で管理し、拠点や従業員数が増えて受講漏れの把握や実施状況の確認が必要になった段階で SCORM 形式にして LMS(学習管理システム)に登録する進め方が現実的です。SCORM にすると、受講者ごとの完了状況や学習時間が自動で記録されます。詳しくは「SCORM 1.2 入門ガイド」をご参照ください。
教材の内容は誰に確認してもらえばよいですか?
ストレスや不調に関する記述など医学的な内容に触れる部分は、産業医・保健師といった産業保健スタッフの確認を経るのが安全です。社内の相談窓口・休職や復職の手続きなど制度に関する記述は、人事・健康管理部門で最新の内容と齟齬がないかを確認します。教材を毎年見直す前提にしておくと、制度変更や体制変更にも追随しやすくなります。

ご紹介

メンタルヘルス研修の動画づくりに使えるツールのご紹介

当社の Insight Training Studio は、PowerPoint を素材として研修・教育動画を作成するデスクトップアプリです。これまでの研修資料をスライドに整理し、台本をスピーカーノートに集約 → 合成音声でナレーション生成 → MP4 書き出し、受講記録が必要なら SCORM 1.2 でパッケージ出力、という本ガイドの流れをそのまま 1 つのアプリ内で進められます。無料版をご用意していますので、まずは全従業員共通のセルフケア編 1 本からお試しください。

  • PowerPoint から研修動画(MP4)を生成
  • 合成音声(TTS)によるナレーション — 47 言語に対応
  • SCORM 1.2 パッケージ出力(LMS 配信・受講記録向け)
  • 無料版あり・キー不要ですぐに使えます

導入のご相談は info@h-insight.jp まで