社内システムの操作研修を動画で実施するには
部署横断・後から入る人にも「同じ内容で届ける」進め方
基幹システムの入れ替え、新しい業務ツールの導入、既存システムのバージョンアップ――そのたびに、部署をまたぐ利用者へ操作を説明する場が必要になります。説明会の日程調整と会場の確保、部署ごとの繰り返し開催、そして後から異動・入社してきた人への個別対応。この操作研修を、動画にして利用者へ同じ内容で繰り返し届ける ための進め方を整理します。情報システム部門・業務改善やシステム導入の担当の方向けに、研修で扱う内容の切り分け、受講記録(証跡)の残し方、画面が変わったときの差し替え運用までを実務目線でまとめました。特別な知識は前提としません。
所要時間:7 分 / 最終更新:2026 年 7 月
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セクション 1
なぜ操作研修を「動画」にするのか
システムの操作研修は、導入時に一度実施すれば終わるものではありません。稼働後も異動や入社のたびに同じ説明が必要になり、機能追加やバージョンアップのたびに内容の見直しが発生します。しかも対象は特定の部署ではなく、拠点も勤務形態もばらばらな全社の利用者です。動画化が選ばれるのは、次の 3 つの理由によります。
対象が部署をまたぎ、日程がそろわない
同じシステムを使う利用者が複数の部署・拠点に分かれていると、集合説明会の日程を一度でそろえるのは簡単ではありません。日中の業務や交代勤務、拠点間の移動を考えると、結局は部署ごとに同じ説明を繰り返すことになりがちです。動画にしておけば、各自の都合のよい時間に、同じ内容を視聴してもらえます。
稼働後も「後から入る人」に説明し続ける必要がある
導入時の説明会に参加していない人は、稼働後も継続的に発生します。そのたびに担当者が個別に画面を見せて説明していると、説明する人によって範囲や順序が変わり、担当者の負担も続きます。動画にしておくと、異動・入社のタイミングに合わせて同じ内容をそのまま渡せます。
操作は「画面を見せながら」のほうが伝わる
どのボタンを押し、どの順で入力するかといった手順は、文章だけの手順書よりも、実際の画面を映しながら順に示したほうが伝わりやすい場面が多くあります。手順書と動画を併用し、細かい条件は手順書、全体の流れは動画、と役割を分けると、稼働直後に問い合わせが集中しがちな「そもそもどこから始めるのか」という部分を先回りして案内できます。
※ 本ガイドは社内システムの操作研修を動画で実施する運用方法を整理するもので、特定の製品・サービスの導入手順を説明するものではありません。研修で扱うべき範囲や、権限・データの取り扱いに関するルールは、システムの種類や自社の情報管理の方針によって異なります。詳細は自社の情報システム部門や、当該システムの管理を担当する部門にご確認ください。
セクション 2
研修で扱う内容の種類と動画化の相性
ひとくちに操作研修といっても、扱うテーマは全利用者に共通するログイン方法から、担当者だけが行う個別の設定作業まで幅があります。動画化との相性は内容によって変わるため、まずどの部分を動画にするかを切り分けると、進め方を整理しやすくなります。
| 扱う内容 | 主な対象 | 動画化との相性 | 進めるときのポイント |
|---|---|---|---|
| 共通の基本操作(ログイン・画面構成・検索・共通ボタン) | 全利用者 共通 | ログインの方法、画面のどこに何があるか、共通の操作といった基礎は、部署が変わっても同じ内容を説明するため相性が良い | 「1 画面 = 1 メッセージ」で、まずこの土台部分を 1 本にまとめる |
| 業務別の操作手順(申請・入力・承認・出力) | その業務を担当する部署 | 自分の担当業務をシステム上でどう進めるかという手順は、画面の流れを順に見せられるため動画化しやすい | 部署・役割ごとに分けて短い動画にし、必要な人が必要な分だけ視聴できるようにする |
| 運用ルール(入力の締め、権限、データの取り扱い) | 全利用者/管理者 | いつまでに入力するか、誰がどこまで見られるか、扱う情報をどう取り扱うかといった自社で決めた運用は、操作と一体で伝えると定着しやすい | 操作手順と混ぜず節を分け、変更されやすいため独立した 1 本にしておく |
| 個別の設定作業、エラー時の調査、例外的なデータ補正 | 情報システム部門・担当者ごと | 環境やデータの状態によって手順が変わる作業は、その場での確認ややり取りが必要なため動画だけで完結させにくい | 動画で共通の前提をそろえたうえで、個別の対応は問い合わせ窓口や手順書で受ける |
※ 扱うべき内容や研修の範囲は、システムの種類(基幹システム・グループウェア・業務ツールなど)や利用者の役割、自社の運用体制によって異なります。動画はあくまで研修を実施する手段の一つです。手順書やマニュアルそのものを動画にする進め方は「マニュアルを動画にするには」のガイドで別に整理しています。権限やデータの取り扱いに関するルールは、自社の情報システム部門・情報管理の所管部門にご確認ください。
セクション 3
実務の進め方 — まず全利用者共通の 1 本を作る
操作研修の動画化でつまずきやすいのは、全機能を網羅した完全版を作ろうとして、稼働日までに間に合わなくなるパターンです。まずは全利用者が共通で対象になる「基本操作」を 1 本作って配ってみると、自社に合った進め方や負担の見当がつきます。
全利用者共通の土台から動画化する — ログイン、画面構成、共通の操作といった基礎は、どの部署にもほぼ同じ内容を説明するため動画化の効果が出やすいテーマです。まずそこから 1 本作り、運用しながら業務別の手順や運用ルールへ範囲を広げていくと無理がありません。
操作画面のキャプチャをスライドに整理して教材化する — 多くの教材作成・動画化ツールはスライド(PowerPoint)を素材として扱います。実際の画面のスクリーンショットを操作の順に並べ、押す場所を囲みや矢印で示して「1 画面 = 1 メッセージ」に整理すると、そのまま動画の土台になります。すでに導入時の説明会資料や手順書がある場合は、それを再利用すると早く着手できます。
1 本を短くまとめ、業務・役割ごとに分ける — 利用者は業務の合間に視聴することが多く、全機能を詰め込んだ長い 1 本は途中で止まりがちです。「基本操作」「申請する人向け」「承認する人向け」のようにテーマごとに区切っておくと、必要な人が必要な分だけ視聴でき、画面が変わったときの差し替えも一部だけで済みます。
ナレーションは目的に合わせて選ぶ — 自分の声で録音する、台本から合成音声(TTS)で生成する、といった選択肢があります。バージョンアップのたびに見直す・本数が増えていく・拠点の多言語利用者にも用意したい場合は、台本を直せば作り直せる合成音声(TTS)が運用しやすい方式です。
研修動画の作り方 — 6 ステップの実務ガイド
操作研修の動画も、企画 → 台本 → スライド → ナレーション → 書き出し → 配信という基本の流れは研修動画と同じです。台本の書き方やナレーションの選択肢の比較は、こちらの実務ガイドに整理しています。
研修動画の作り方を読む →セクション 4
受講した記録(証跡)をどう残すか
利用者が全社に広がると、「稼働までに必要な説明が届いているか」を導入担当から把握しにくくなります。動画を用意したら、誰がいつ受講したかを残す方法もあわせて決めておきます。残し方は大きく 2 つです。
動画を配って視聴してもらう(MP4 共有)
まず始めるならファイルサーバーや社内ポータルで動画を配り、視聴してもらう運用です。追加のシステムが不要で、稼働までの日程が限られていてもすぐに始められます。一方で誰が最後まで視聴したかは記録されないため、確認テストや部署ごとの受講報告など別の方法で管理する必要があります。受講管理の仕組みがまだ無い段階の出発点として現実的です。
LMS で受講管理する(SCORM)
証跡が必要なら教材を SCORM 形式で LMS(学習管理システム)に登録すると、受講者ごとの完了状況や学習時間を LMS が自動で記録します。稼働前に部署別の受講状況を確認したい・未受講者へ案内したい場面では、この受講記録がそのまま証跡になり、一覧で進捗を確認できます。無料・オープンソースの LMS もあり、まずは小さく試すこともできます。
SCORM 1.2 入門ガイド
受講記録を残すうえで避けて通れないのが SCORM 規格です。SCORM とは何か、なぜ重要か、対応 LMS、書き出しの流れまでをまとめた入門ガイドをご用意しています。サンプル SCORM 1.2 パッケージも無料でダウンロードできます。
SCORM 1.2 入門ガイドを読む →セクション 5
つまずきやすいポイント
社内システムの操作研修を動画で実施するときに引っかかりやすい点を、先回りして 3 つ挙げておきます。
画面に実データを映さない — 操作画面をそのまま撮ると、取引先名や従業員の情報、金額といった実際のデータが映り込むことがあります。動画は社内で広く配られ、後から一部だけ差し替えるのも手間がかかるため、素材はテスト環境や検証用のデータで用意するのが安全です。撮影前に、どの環境の画面を使うか・映してよい情報の範囲はどこまでかを、情報システム部門や情報管理の所管部門と確認しておきます。
バージョンアップで画面が変わることを前提に作る — 業務システムは機能追加や画面の変更が続きます。古い画面のまま研修が使われ続けると、利用者に実際とは違う手順が伝わりかねません。変わりやすい画面は独立した 1 本に分けておき、更新のタイミングと担当を決めて差し替えます。台本(スピーカーノート)を残しておけば、変わった箇所だけ書き直して作り直せます。動画の冒頭やファイル名に対象バージョンと更新日を入れておくと、古い版が残っていても見分けがつきます。
「操作」だけでなく「何のために」を最初に伝える — ボタンの押し方だけを並べると、手順は追えても、なぜこのシステムに入力するのか・入力した情報がその後どう使われるのかが伝わらないことがあります。冒頭に業務全体の流れと、自分の入力がどこにつながるのかを 1〜2 枚のスライドで示しておくと、手順の意味が理解され、例外的な場面でも自分で判断しやすくなります。あわせて、迷ったときの問い合わせ先を最後に明示しておきます。
セクション 6
よくある質問
操作説明会の代わりに動画を配るだけで足りますか?
どの内容から動画にするのがよいですか?
バージョンアップで画面が変わったら作り直しですか?
受講した記録(証跡)はどう残せますか?
海外拠点や外国人材の利用者にはどう対応すればよいですか?
ご紹介
操作研修の動画づくりに使えるツールのご紹介
当社の Insight Training Studio は、PowerPoint を素材として研修・教育動画を作成するデスクトップアプリです。操作画面のキャプチャをスライドに整理し、台本をスピーカーノートに集約 → 合成音声でナレーション生成 → MP4 書き出し、受講記録が必要なら SCORM 1.2 でパッケージ出力、という本ガイドの流れをそのまま 1 つのアプリ内で進められます。無料版をご用意していますので、まずは基本操作の 1 本からお試しください。
- ✓PowerPoint から教育動画(MP4)を生成
- ✓合成音声(TTS)によるナレーション — 47 言語に対応
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導入のご相談は info@h-insight.jp まで