HARMONIC insight
📝 実務ガイド

報連相の研修を動画で実施するには
報告・連絡・相談のタイミングと伝え方を、新人と中途に同じ内容で届ける進め方

報告・連絡・相談、いわゆる報連相は、新入社員研修の定番として多くの会社で扱われています。一方で、「研修では分かったと言っていたのに、現場では悪い知らせが上がってこない」「何でも相談してと言われたが、どこまで自分で決めてよいのか分からない」「中途入社の人に、前の会社と違うやり方が伝わっていない」という声もよく聞かれます。報連相がうまくいかない理由は、大切さを知らないことよりも、いつ伝えればよいか、誰に伝えればよいか、どの手段で伝えればよいかが、職場ごとの暗黙の決まりになっていて見えないところにあることが少なくありません。そこで、報連相の共通の考え方と、自社で決めている報告先・連絡の手段・相談の窓口、場面ごとの判断の目安を、新人にも中途にも同じ内容で繰り返し届けて記録に残す ための進め方を整理します。人材開発・各部門の教育担当者の方向けに、動画にできる部分とできない部分の切り分け、職場で実際に起きた場面から作る手順、構成時の注意点、視聴記録の残し方までを実務目線でまとめました。

所要時間:7 分 / 最終更新:2026 年 10 月

📩 公開・改訂のお知らせをメールで受け取る

EN / ZH 翻訳版・追加資料・ガイド改訂のお知らせを不定期にお送りします(解除はいつでも)。

送信時、お問い合わせフォームに必要事項が引き継がれます(最終送信はそちらで完了)。

セクション 1

なぜ報連相の研修を動画にするのか

報連相は、毎年の新人研修で繰り返し扱われる一方、講師や配属先の先輩によって説明の中身が少しずつ違いやすいテーマです。動画にしておくと扱いやすくなる理由は、次の 3 つです。

🧭

職場ごとの「暗黙の決まり」を、同じ言葉で見えるようにできる

どこまでを自分で進めてよく、どこからを上司に相談するのか。急ぎの連絡は電話なのかチャットなのか。報告は口頭でよいのか、記録に残すのか。こうした決まりは、長くいる人にとっては当たり前でも、新しく加わった人には見えません。人によって説明が変わると、受け取る側は「誰の言うことに合わせればよいのか」で迷います。会社として決めている目安を同じ言葉と同じ場面で示しておけば、誰が説明しても出発点がそろいます。

👥

新卒の一斉研修だけでなく、中途入社や異動のたびに同じ内容を渡せる

集合研修は新卒の入社時期にまとめて行われることが多く、年の途中で入社する人や、別の部署から異動してきた人は、説明を受けないまま仕事に入りがちです。中途入社の人は前の職場の進め方を身につけているぶん、自社との違いが伝わらないと行き違いが起きやすくなります。動画にしておけば、入社や異動の時期にかかわらず同じ説明から始められ、受け入れる側は職場での声かけに時間を使えます。

🔁

見返せて、連絡の手段や窓口が変わったら差し替えられる

報連相は、一度聞いて身につくものではなく、実際の仕事で迷ったときに思い出せることが大切です。短い動画にしておけば、配属後に見返してもらえます。社内のチャットツールを入れ替えた、報告の様式を変えた、相談の窓口を新しく設けた――そのときは、変わった部分を扱う本だけを差し替えて配り直せます。

※ 本ガイドは、報告・連絡・相談にまつわる社内の決まりと考え方を動画教材として届ける方法を整理するものです。事故・不正・ハラスメント・情報漏えいなど、法令や社内規程で報告の手続きや窓口が定められている事柄は、本ガイドで扱う日常の報連相とは別の手続きに沿って対応する必要があります。教材の中でそれらにふれる場合は、自社の担当部門が定める手続きと窓口を確認したうえで、案内先を示す形にしてください。

セクション 2

扱う内容の種類と動画化の相性

「報連相の研修」とひとことで言っても、その中身は、どの職場にも共通する考え方から、自社の報告先や連絡の手段、部署ごとの場面、個別の案件の判断まで幅があります。動画化との相性は内容によって大きく変わるため、まずどこを動画にするかを切り分けると、作る本数も更新の手間も見通しが立ちます。

扱う内容変わりやすさ動画化との相性進めるときのポイント
共通の考え方(悪い知らせほど早く伝える/事実と自分の考えを分けて伝える/結論から先に伝える/困ったら抱え込まずに相談する/伝えたら相手に届いたかを確かめる)変わりにくい新人にも中途にも同じ内容を届ける用途に向く1 本目はここから。部署を問わずそのまま渡せる
自社の決まり(誰に報告するか、急ぎのときの連絡の手段、記録に残す報告と口頭でよい報告の区別、上司が不在のときの相談先)組織や社内ツールの見直しで変わる向く。場面ごとに順に見せられる考え方の本と別にする。ツールや窓口が変わったらここだけ差し替える
部署ごとの場面と判断の目安(営業の納期の遅れ、製造の不具合、事務の締め切りなど、その職場でよく起きる場面と、どこから相談するかの線)部署や時期によって変わる向く。ただし部署との作り込みが必要部署の担当者と場面を選ぶ。実在の案件や人が特定されない形に作り直す
個別の案件をどう判断するか、誰がどこまで決めてよいかの権限案件ごとに違う動画で決めるものではない教材では「迷ったら相談する先」だけを示し、判断と権限は職務分掌や上司との確認で

※ 何をどこまで教材に載せるか、どの範囲の人を対象とするかは、会社の規模、部署の仕事の内容、社内の決まりによって異なり、本ガイドでは判断できません。決裁や権限にかかわる部分は、職務権限の規程など社内の定めが優先します。教材の内容が社内の規程と食い違わないよう、人事や関係部門と確かめてから作ってください。

セクション 3

実務の進め方 — 職場で実際に起きた「伝わらなかった場面」から作る

報連相の教材でつまずきやすいのは、「報告・連絡・相談とは何か」という定義と言い方の型の説明から作り始めてしまうパターンです。内容として正しくても、受け取る側が実際の仕事で迷う場面に答えていなければ、見たあとの行動は変わりません。まずは、職場で実際に起きた「伝わらなかった」「遅れた」場面を書き出すところから始めてください。教材の題材はすべてここから出てきます。

受け入れる側と、入ってきた側の両方に聞く — 上司や先輩には「もっと早く言ってほしかった場面」を、入社や異動から間もない人には「言うべきか迷った場面」「誰に言えばよいか分からなかった場面」を聞きます。「忙しそうで声をかけにくかった」「自分で何とかできると思った」「チャットとメールのどちらで送るべきか迷った」「相談したら、それくらい自分で考えてと言われた」。多くの職場で、似た声が繰り返し出てきます。多いものから 3 つか 4 つで十分です。誰がそう言ったかは記録せず、場面だけを残してください。

1 本目は共通の考え方に絞る — 報連相の定義、言い方の型、ツールの使い方、部署ごとの判断まで網羅しようとすると、長くなり、何をすればよいかが伝わりません。まずは、悪い知らせほど早く/事実と考えを分けて/結論から/困ったら抱え込まずに相談する――この四つほどで 1 本にすると、部署を問わずそのまま渡せます。自社の決まりや部署ごとの場面は、そのあとに別の本で足していけば十分です。

「迷う瞬間」を場面で見せる — 教材の中心は、言葉の定義よりも、伝えるかどうかを迷う瞬間です。納期に間に合わないかもしれないと気づいた場面、上司が会議中で声をかけられない場面、頼まれた作業の進め方に自信がない場面、取引先から急な変更を受けた場面――といった流れを短い寸劇や図で示し、このときに誰に・どの手段で・何を伝えるかを順に追ってください。同じ場面で、事実と推測が混ざった伝え方と、事実・見込み・自分の考えを分けた伝え方を並べて見せると、違いが伝わりやすくなります。場面は教材用に作ったものを使い、実在の社員や取引先が特定されないようにします。

受け手の側の受け止め方を同じ重さで扱う — 伝える側の心得だけを教えても、伝えたときに「なぜもっと早く言わないのか」「それくらい自分で考えて」と返されれば、次からは伝えにくくなります。上司や先輩向けに、悪い知らせを受けたときにまず礼を言う、相談を受けたらどこまで自分で決めてよいかを一緒に確かめる、といった受け止め方を扱う本を用意してください。新人向けの本と同じ場面を使い、受け手の側から見せると、双方の言い分がそろいます。

対象で区切って短く作る — 「報連相のすべて」を 1 本にまとめると、自分に関係のない話が続き、途中で止められます。「共通編(全員向け)」「自社の決まり編(報告先・連絡手段・相談窓口)」「部署ごとの場面編」「受け手編(上司・先輩向け)」のように区切っておくと、必要な本だけを渡せますし、ツールや窓口が変わったときも差し替えが一部で済みます。ナレーションは、自分たちの声で録音する、台本から合成音声(TTS)で生成する、といった選択肢があります。一部だけ直して配り直したい場合や、外国籍の社員向けに多言語版も用意したい場合は、台本を直せば作り直せる合成音声(TTS)が運用しやすい方式です。

🎬

研修動画の作り方 — 6 ステップの実務ガイド

報連相の教材も、企画 → 台本 → スライド → ナレーション → 書き出し → 配信という基本の流れは他の研修動画と同じです。台本の書き方やナレーションの選択肢の比較は、こちらの実務ガイドに整理しています。

研修動画の作り方を読む →

セクション 4

視聴記録をどう残すか

誰がどの教材を見たかを把握しておくと、年の途中で入社した人や異動してきた人に行き渡っているか、連絡の手段や窓口を変えたときの配り直しが届いたかを確認できます。残し方は大きく 2 つです。

動画を共有し、記録は既存の様式に残す(MP4 共有)

まず始めるなら

共有フォルダや社内ポータルに動画を置いて視聴してもらい、記録は入社時の研修記録や受け入れのチェックリストなど、これまで使っている様式に残す運用です。追加のシステムが不要で、今の流れを変えずに始められます。動画の側では誰が視聴したかは残らないため、記録は従来の様式で押さえる形になります。入社や異動の初週に見てもらう運用にしておくと、抜け漏れを防ぎやすくなります。

LMS で受講状況を管理する(SCORM)

証跡を集約するなら

教材を SCORM 形式で LMS(学習管理システム)に登録すると、受講者ごとの完了状況や学習時間を LMS が自動で記録します。拠点や部署が多く、入社や異動の時期がばらばらな人への行き渡りを一覧で確認したい場合に向きます。無料・オープンソースの LMS もあり、まずは小さく試すこともできます。受け手編を管理職研修に組み込む場合も、同じ仕組みで記録をまとめて確認できます。

📘

SCORM 1.2 入門ガイド

受講記録を残すうえで避けて通れないのが SCORM 規格です。SCORM とは何か、なぜ重要か、対応 LMS、書き出しの流れまでをまとめた入門ガイドをご用意しています。サンプル SCORM 1.2 パッケージも無料でダウンロードできます。

SCORM 1.2 入門ガイドを読む →

セクション 5

つまずきやすいポイント

報連相の研修を動画にするときに引っかかりやすい点を、先回りして 5 つ挙げておきます。

言い方の型を押しつける教材にしない — 「結論から」「5W1H で」といった型は役に立ちますが、型どおりに言えたかどうかだけを教材で強調すると、急ぎの場面でも形を整えることに時間を使ったり、型に収まらない相談をためらったりすることがあります。型は「伝わりやすくするための目安」として示し、何より早く伝えることを優先してよい場面があることも合わせて見せてください。

「何でも相談して」で終わらせない — 相談を勧めるだけで、どこまでを自分で決めてよいかを示さないと、受け取る側は「何でも聞く」と「自分で考えて」の間で迷い続けます。部署ごとの場面編では、自分で進めてよい範囲と、必ず相談する場面の目安を、具体的な例で示してください。目安をどこに置くかは部署の仕事と社内の権限の定めによるため、部署の担当者と決めてから教材にします。

伝える側の心得だけの教材にしない — 新人向けの教材だけを作ると、「報連相ができていないのは新人の側の問題」という受け止め方が広がりがちです。伝えにくさは、受け手の反応や職場の雰囲気によっても生まれます。受け手編を用意し、上司や先輩にも同じ場面を見てもらうと、職場全体で同じ前提に立てます。

日常の報連相と、手続きが定められた報告を取り違えない — 事故、不正の疑い、ハラスメント、情報の紛失や漏えいのおそれなどは、上司への日常の報告とは別に、社内規程で報告の手続きや窓口が定められていることがあります。教材の中でこうした事柄を日常の報連相と同じ流れで扱うと、定められた手続きが抜けるおそれがあります。別の手続きがあることと案内先だけを示し、詳しい流れはそれぞれの担当部門の教材や規程に委ねてください。

連絡の手段や窓口が変わったら教材も差し替える — チャットツールを入れ替えた、報告の様式を変えた、相談の窓口を新しく設けた――このとき教材だけが以前の内容のまま残ると、見た人は古い手段や古い窓口で動いてしまいます。自社の決まり編には、いつ時点の内容かを画面に入れておき、仕組みを変える側から教材の担当に伝わる流れを決めてください。差し替えたら旧版は共有場所から下げ、どの版を見ればよいかが分かる状態にしておきます。

セクション 6

よくある質問

報連相の研修は、動画だけで足りますか?
動画で担えるのは、共通の考え方と自社の決まりを同じ内容で繰り返し届けるところまでです。実際に報連相が身につくかどうかは、配属先で伝えたときにどう受け止められるか、迷ったときに相談できる相手がいるかに大きく左右されます。動画は入社・異動時の共通の説明や見返し用に使い、配属先での声かけや、上司・先輩との定期的な面談と組み合わせて運用してください。
「報告書・社内メールの書き方」の研修とは、どう使い分けますか?
扱う範囲が違います。報告書やメールといった文章の組み立て方を扱うのが「報告書・社内メールの書き方研修を動画で実施するには」、いつ・誰に・どの手段で伝えるかという判断と、口頭やチャットも含めた伝え方を扱うのが本ガイドです。伝えると決めたあと、文章で伝える場面の書き方を扱うのが書き方の研修、という順につながっています。同じ新人に届けるなら、本ガイドの教材を先に見てもらうと流れが伝わりやすくなります。
新人を受け持つ指導役や、新任の管理職の研修とはどう組み合わせればよいですか?
本ガイドの「受け手編」は、指導役や管理職の研修に組み込みやすい内容です。現場で新人を受け持つ指導役の教え方は「OJT トレーナー・新人指導者の研修を動画で実施するには」に、昇格・登用時の研修は「新任管理職研修を動画で実施するには」に整理しています。新人向けの本と同じ場面を使っておくと、教える側と教わる側で前提をそろえられます。
中途入社の人にも、新卒と同じ教材を使えますか?
共通の考え方の本はそのまま使える場合が多いですが、中途入社の人にとって大切なのは、前の職場との違いです。自社の決まり編と部署ごとの場面編を中心に見てもらい、「前の職場ではどうしていたか」を受け入れる側が一度聞いておくと、行き違いが起きやすいところを早めに埋められます。基本的な心得の説明が長いと、経験のある人ほど途中で止めてしまうため、本を区切っておくと必要な部分だけを渡せます。
外国籍の社員にも同じ教材を使えますか?
共通編はそのまま使える場合が多いですが、届け方の工夫が要ります。字幕を用意する、多言語版を作る、報告先や連絡の手段は文字で画面に出す、といった工夫が有効です。「悪い知らせほど早く」「結論から」といった考え方は、国や前の職場によって受け止め方が違うことがあるため、場面で具体的に見せるほうが伝わります。日本語で説明することが負担になって相談をためらう場合もあるため、図や写真を見せながら伝えてよい、といった自社の受け止め方を教材であらかじめ示しておくと、伝えやすくなります。合成音声(TTS)で作っておくと、台本を訳して同じ構成の多言語版を用意しやすくなります。
どこから作ればよいですか?
まず、職場で実際に起きた「もっと早く言ってほしかった場面」と「言うべきか迷った場面」を書き出してみてください。自社で多い行き違いが見えます。1 本目は、悪い知らせほど早く/事実と考えを分けて/結論から/困ったら抱え込まずに相談する――という共通の考え方に絞ると、どの部署の誰にでも配れる教材になります。次に自社の決まり編、そして部署ごとの場面編や受け手編を足していくと、実際に必要な形になります。すべてを一度に作ろうとすると完成しないまま止まりがちです。

ご紹介

社内の研修教材づくりに使えるツールのご紹介

当社の Insight Training Studio は、PowerPoint を素材として研修・教育動画を作成するデスクトップアプリです。報連相の考え方と自社の決まり、迷う場面をスライドに整理し、解説をスピーカーノートに台本として集約 → 合成音声でナレーション生成 → MP4 書き出し、受講記録が必要なら SCORM 1.2 でパッケージ出力、という本ガイドの流れをそのまま 1 つのアプリ内で進められます。無料版をご用意していますので、まずは共通編の 1 本からお試しください。

  • ✓PowerPoint から研修動画(MP4)を生成
  • ✓合成音声(TTS)によるナレーション — 47 言語に対応
  • ✓SCORM 1.2 パッケージ出力(LMS 配信・受講記録向け)
  • ✓無料版あり・キー不要ですぐに使えます

導入のご相談は info@h-insight.jp まで