HARMONIC insight
📝 実務ガイド

テレワーク・在宅勤務のルールの研修を動画で実施するには
申請・勤怠・情報の扱い・連絡の決まりを、対象者全員に同じ内容で届ける進め方

在宅勤務は、制度を作った時点では説明会を開いても、その後に入社した人、育児や介護をきっかけに新しく使い始める人、異動してきた上司には、規程の文書が渡されるだけになりがちです。2025 年 4 月からは、3 歳になるまでの子を育てる人や家族を介護する人がテレワークを選べるようにすることが事業主の努力義務となり、在宅勤務を使う人の幅も広がっています。そこで、在宅勤務の日にどう申請し、どう勤怠を残し、どの情報をどう扱い、誰にどう連絡するのかという自社の決まりを、使う人にもその上司にも同じ内容で届けて記録に残す ための進め方を整理します。人事・総務・情報システムの担当者や、各部門の教育担当者向けに、動画にできる部分とできない部分の切り分け、作る順番、構成時の注意点、視聴記録の残し方までを実務目線でまとめました。

所要時間:7 分 / 最終更新:2026 年 10 月

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セクション 1

なぜ在宅勤務のルールの研修を動画にするのか

在宅勤務のルールは、使い始める時期が人によってばらばらで、集合研修の日にそろって受けてもらうのが難しいテーマです。動画にしておくと扱いやすくなる理由は、次の 3 つです。

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使い始める時期が違う人にも、同じ内容を届けられる

在宅勤務を使い始めるのは、入社したとき、育児休業から戻ったとき、家族の介護が始まったとき、部署の運用が変わったときなど、人によってさまざまです。年に一度の説明会では、その間に使い始めた人に届きません。動画にしておけば、使い始めるときに必ず見てもらう教材として渡し、誰に届いたかを残しておけます。

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申請や打刻の操作を、実際の画面で示せる

「在宅勤務の日は事前に申請してください」「中抜けは記録してください」と規程に書いてあっても、どのシステムのどの画面で、何を入れればよいかまでは伝わりません。動画なら、申請の画面、始業と終業の記録、中抜けの入れ方、社外から社内のシステムに入る手順を実際の画面で映し、「ここで、これを入れる」と具体的に覚えてもらえます。

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規程や使う道具が変わったときに、一部だけ差し替えられる

在宅勤務の規程は、対象者の範囲、申請の期限、使う機器や接続の方法などが、運用しながら見直されていきます。資料を配り直したり説明会を開き直したりするのは負担ですが、動画を内容ごとに分けておけば、変わった部分の本だけを作り直して差し替えられます。

※ 本ガイドは、在宅勤務にかかわる社内の決まりと手続きを動画教材として届ける方法を整理するものです。制度の事実は厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」と育児・介護休業法の改正内容(2026 年 10 月確認)にもとづいていますが、自社の在宅勤務の規程の内容、個別の労働時間の扱いや費用の負担、個人の働き方の可否の判断は、厚生労働省の公表資料や、社内の人事部門・社会保険労務士などの助言に沿って行ってください。本ガイドは法的な助言や、個別の判断を示すものではありません。

セクション 2

扱う内容の種類と動画化の相性

「在宅勤務のルールの研修」とひとことで言っても、その中身は、在宅勤務で守る共通の考え方から、自社の申請と勤怠の手続き、情報と機器の扱い、個別の働き方を認めるかどうかの判断まで幅があります。動画化との相性は内容によって大きく変わるため、まずどこを動画にするかを切り分けると、作る本数も見直しの手間も見通しが立ちます。

扱う内容変わりやすさ動画化との相性進めるときのポイント
在宅勤務で守る共通の考え方(働く時間をはっきりさせる/連絡がつく状態を保つ/会社の情報を家族や外の人に見せない/困ったら一人で抱えない)あまり変わらない対象者全員に同じ内容を届ける用途に向く1 本目はここから。部署を問わずそのまま渡せる
自社の申請と勤怠の手続き(在宅勤務の申請、始業・終業と中抜けの記録、残業の申請、出社日との切り替え)規程や勤怠システムの変更で変わる向く。実際の画面を映して見せられる部署ごとに違う運用をこの段階で洗い出す。変わったらここだけ差し替える
情報と機器の扱い(社外からの接続の手順、自宅で扱ってよい情報、印刷と書類の持ち出し、オンライン会議での画面の映り込み、機器をなくしたときの連絡)使う機器や接続の方法の変更で変わる向く。手順と場面として見せられる情報システム部門と一緒に作る。社内の情報セキュリティの決まりと食い違わないようにする
個人の働き方を認めるかどうか、個別の労働時間や費用の負担の扱いの判断人ごと・事情ごとに違う動画で決めるものではない教材では「誰に相談するか」「どこで確かめるか」だけを示す

※ 何をどこまで教材に載せるか、誰を対象とするかは、業種、職種、在宅勤務の対象者の範囲、使っている勤怠システムや機器、社内の就業規則と在宅勤務の規程などによって異なり、本ガイドでは判断できません。教材の内容が社内の規程と食い違わないよう、人事・総務・情報システムなど関係する部門と確かめてから作ってください。

セクション 3

実務の進め方 — 「在宅勤務の日に実際に迷った場面」から作る

この教材でつまずきやすいのは、在宅勤務の規程を条文の順に読み上げる形で作ってしまうパターンです。内容として正しくても、見る人は「いつ、何をすればよいのか」が分からないまま終わります。そろえたいのは、在宅勤務をする一人ひとりが、自社の決まりに沿って申請し、働いた時間を残し、情報を守り、連絡をつけることです。まずは、在宅勤務の日に実際に迷いやすい場面を集めるところから始めてください。

迷いやすい場面を、先に書き出す — 人事・総務の問い合わせ窓口や各部門の上司に、在宅勤務についてよく聞かれることを書き出してもらいます。「当日に在宅勤務に切り替えてよいか」「子どもの送り迎えで抜けた時間はどう記録するか」「自宅のプリンターで印刷してよいか」「会議中に家族が映り込んだらどうするか」といった、規程の文面からは見えにくい迷いが集まります。ここで集めた場面が、そのまま教材の骨組みになります。

1 本目は共通の考え方に絞る — 規程のすべての条文を網羅しようとすると長くなり、見る人の多くには関係の薄い話が続きます。まずは、働く時間をはっきりさせる/連絡がつく状態を保つ/会社の情報を家族や外の人に見せない/困ったら一人で抱えない――この四つほどで 1 本にすると、部署を問わずそのまま渡せます。個別の事情にかかわる判断は、人事部門の窓口に任せます。

在宅勤務の 1 日を、申請から終業まで順に見せる — 前日までの申請、始業の記録と上司への連絡、社外から社内のシステムに入る手順、中抜けの記録、オンライン会議、終業の記録。在宅勤務の 1 日の流れを、自社で実際に使っている画面で順に映してください。どこで何をすればよいかがひと目で分かれば、言葉の説明は短くて済みます。画面を映すときは、実在の社員の名前や業務の情報が映り込まないよう、練習用のデータを使ってください。

対象ごとに本を分ける — 在宅勤務をする人全員が知っておくこと、部署ごとに違う運用、在宅勤務の部下を持つ上司が知っておくことは別物です。1 本にまとめると、どの人にも関係の薄い話が続きます。「共通編(在宅勤務をする全員向け)」「手続き編(申請と勤怠・情報と機器)」「上司向け編(申請の承認、勤怠の確かめ方、部下との連絡のとり方)」のように区切っておくと、必要な本だけを渡せますし、規程や機器が変わったときも差し替えが一部で済みます。

変わりやすい部分を、本編と分けておく — 接続の手順や使う機器、勤怠システムの画面は、入れ替えのたびに変わります。本編は考え方と流れを中心にし、操作の画面は手続き編の短い本にまとめておくと、入れ替えのときに作り直す範囲が小さくなります。ナレーションは、自分たちの声で録音する、台本から合成音声(TTS)で生成する、といった選択肢があります。画面や手順が変わるたびに一部だけ直したい場合や、外国籍の社員向けに多言語版も用意したい場合は、台本を直せば作り直せる合成音声(TTS)が運用しやすい方式です。

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研修動画の作り方 — 6 ステップの実務ガイド

在宅勤務のルールの教材も、企画 → 台本 → スライド → ナレーション → 書き出し → 配信という基本の流れは他の研修動画と同じです。台本の書き方やナレーションの選択肢の比較は、こちらの実務ガイドに整理しています。

研修動画の作り方を読む →

セクション 4

視聴記録をどう残すか

誰がどの教材を見たかを把握しておくと、在宅勤務を使い始めた人に漏れなく届いたか、新しく上司になった人にも届いたかを確認できます。在宅勤務の利用を認める前に見てもらう教材として運用する場合にも、記録が役に立ちます。残し方は大きく 2 つです。

動画を共有し、記録は既存の様式に残す(MP4 共有)

まず始めるなら

共有フォルダや社内ポータルに動画を置いて視聴してもらい、記録は在宅勤務の申請書の確認欄や研修の受講記録の表など、これまで使っている様式に残す運用です。追加のシステムが不要で、今の流れを変えずに始められます。動画の側では誰が視聴したかは残らないため、記録は従来の様式で押さえる形になります。

LMS で受講状況を管理する(SCORM)

証跡を集約するなら

教材を SCORM 形式で LMS(学習管理システム)に登録すると、受講者ごとの完了状況や学習時間を LMS が自動で記録します。在宅勤務の対象者が多く、使い始める時期もばらばらで、誰に届いたかを一覧で確認したいときに向きます。無料・オープンソースの LMS もあり、まずは小さく試すこともできます。上司向け編のように対象者が限られる本も、同じ仕組みで誰に届いたかを確認できます。

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SCORM 1.2 入門ガイド

受講記録を残すうえで避けて通れないのが SCORM 規格です。SCORM とは何か、なぜ重要か、対応 LMS、書き出しの流れまでをまとめた入門ガイドをご用意しています。サンプル SCORM 1.2 パッケージも無料でダウンロードできます。

SCORM 1.2 入門ガイドを読む →

セクション 5

つまずきやすいポイント

在宅勤務のルールの研修を動画にするときに引っかかりやすい点を、先回りして 5 つ挙げておきます。

禁止事項の一覧にしない — 「〇〇をしてはいけない」が並ぶだけの教材は、見る人に「在宅勤務は面倒なもの」「疑われている」という受け取り方をさせがちです。決まりがある理由と、守ったときにどう働きやすくなるのかを一緒に伝えてください。たとえば、働いた時間をきちんと残すのは、長く働きすぎていないかを本人と会社の両方で確かめるためだ、と説明すると、受け取り方が変わります。

中抜けや育児・介護との両立の場面を、避けて通らない — 在宅勤務を使う人の中には、子どもの送り迎えや家族の通院の付き添いと仕事を両立させている人がいます。きれいな 1 日の流れだけを見せると、こうした人が「自分の場合はどうすればよいのか」を分からないまま残ります。中抜けの記録の仕方や、予定が変わったときの連絡のとり方を、場面として入れてください。個別の事情を認めるかどうかの判断は、教材ではなく人事部門の窓口で受けます。

家族や同居人がいる前提で、情報の扱いを示す — 自宅には、家族や同居人、来客がいます。画面をのぞかれる、会議の声が聞こえる、印刷した書類が置きっぱなしになる、といった場面は、オフィスでは起きにくいものです。オンライン会議の背景、画面を離れるときのロック、書類の保管と処分の仕方を、自宅の場面として見せてください。具体的にどの情報を自宅で扱ってよいかは、社内の情報セキュリティの決まりに沿って情報システム部門と決めます。

上司向けの本を、後回しにしない — 在宅勤務の運用で迷いやすいのは、使う本人だけではありません。申請の承認、勤怠の確かめ方、顔を合わせない部下との連絡のとり方、在宅勤務の人とそうでない人の扱いをそろえることなど、上司が知っておくことは別にあります。共通編だけを配ると、上司ごとに運用がばらつきます。上司向け編も最初の段階で用意してください。

規程が変わったあとも、古い本を残さない — 対象者の範囲、申請の期限、使う機器や接続の手順が変わったのに、古い動画が共有場所に残っていると、どれが今のルールなのかが分からなくなります。いつ時点の内容かを画面に入れ、規程や機器を変えたときは手続き編を見直して、旧版は共有場所から下げる担当を決めてください。

セクション 6

よくある質問

在宅勤務のルールの研修は、動画だけで足りますか?
動画で担えるのは、在宅勤務で守る共通の考え方と自社の申請・勤怠・情報の扱いの手続きを、同じ内容で繰り返し届けるところまでです。個人の事情に応じた働き方を認めるかどうか、個別の労働時間や費用の負担の扱いといった判断は、動画では代わりになりません。動画は周知と、在宅勤務を使い始めるときの説明に使い、個別の相談は人事部門などの窓口で受ける、という形で組み合わせて運用してください。
情報機器作業(VDT)の健康管理の教育とは、どう使い分けますか?
扱う範囲が違います。パソコン作業の姿勢・休止・照明など、自宅の席を含めた体の負担の扱いを中心に扱うのが「情報機器作業(VDT)の健康管理の教育を動画で実施するには」です。本ガイドは、在宅勤務の申請・勤怠・情報の扱い・連絡といった、働き方の決まりと手続きに絞った位置づけです。在宅勤務を使い始める人には、両方を組み合わせて渡す形も取れます。
情報セキュリティの研修とは、内容が重なりませんか?
全社に向けた情報セキュリティ教育の全体像は「情報セキュリティ研修を動画で実施するには」で扱っています。本ガイドでは、そのうち自宅で働くときに特有の場面――家族がいる場所での画面や書類の扱い、社外からの接続、機器をなくしたときの連絡――に絞って、在宅勤務の手続きの中で見せる形を想定しています。重なる部分は、情報セキュリティの教材を参照するよう案内すれば、同じ内容を二重に作らずに済みます。
在宅勤務の利用を認める前に、動画を見てもらうべきですか?
在宅勤務を使い始める前に共通編と手続き編を見てもらい、その記録を申請の確認に使う運用は、決まりを知らないまま使い始める人を減らすうえで有効です。ただし、視聴を在宅勤務の利用の条件にするかどうかは、社内の規程の決め方にかかわります。人事部門と確かめたうえで、規程の中でどう位置づけるかを決めてください。
外国籍の社員にも同じ教材を使えますか?
共通編と手続き編は、申請から終業までの画面の流れを目で見せる構成にしておけば使いやすい教材です。字幕を用意する、多言語版を作る、といった工夫が有効です。合成音声(TTS)で作っておくと、台本を訳して同じ構成の多言語版を用意しやすくなります。規程の文面そのものを翻訳して渡す場合は、意味が正しく伝わっているかを人事部門と確かめてください。
どこから作ればよいですか?
まず、人事・総務の問い合わせ窓口や各部門の上司に、在宅勤務についてよく聞かれることを書き出してもらってください。規程の文面からは見えにくい迷いが集まります。1 本目は、働く時間をはっきりさせる/連絡がつく状態を保つ/会社の情報を家族や外の人に見せない/困ったら一人で抱えない――という共通の考え方で作ると、在宅勤務をする全員に配れる教材になります。次に申請と勤怠・情報と機器の手続き編、そして上司向け編を足していくと、実際に必要な形になります。

ご紹介

社内の研修教材づくりに使えるツールのご紹介

当社の Insight Training Studio は、PowerPoint を素材として研修・教育動画を作成するデスクトップアプリです。在宅勤務で守る共通の考え方と自社の申請・勤怠の手続きをスライドに整理し、解説をスピーカーノートに台本として集約 → 合成音声でナレーション生成 → MP4 書き出し、受講記録が必要なら SCORM 1.2 でパッケージ出力、という本ガイドの流れをそのまま 1 つのアプリ内で進められます。無料版をご用意していますので、まずは共通編の 1 本からお試しください。

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